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2002-12-06 平成14年第4回定例会(第3日目) 本文
2002-12-06 平成14年第4回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2002-12-06
    2002-12-06 平成14年第4回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(溝口宏二君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    成 尾 信 春 君    高 橋   稔 君    尾 辻   義 君    永田けんたろう 君  一、請願・陳情の委員会付託  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━    △ 一般質問 2 ◯議長(溝口宏二君) まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。
     成尾信春君に発言を許可いたします。    [成尾信春君登壇](拍手) 3 ◯成尾信春君 平成十四年第四回県議会定例会に当たり、公明党議員として一般質問を行います。  質問に先立ち、過日若くして御逝去されました高円宮殿下に哀悼の誠を捧げます。  日本の政治の中核を担うとの決意も新たに、我が公明党は十一月二日の第四回全国大会で「生活与党・公明党」、「与直し公明党」のスローガンを掲げ、連立政権第二期へ出発いたしました。まじめに働く人が報われる社会の実現を目指す「生活与党・公明党」のスローガンは、公明党が一貫して取り組んできた「生活者の政治」を政権与党の立場からさらに力を入れて推進していこうというものであります。いわゆる生活者の感覚を優先させ、国民への奉仕に徹していくとの強い決意の表明にほかなりません。また、「与直し公明党」には世の中を直す世直しの意味と与党の中で大いに公明党らしさを発揮するという意味が込められております。私もこの大会に出席をいたし、地域住民の側に立って全力で取り組もうと決意を新たに帰ってまいりました。  以下、地域懇談等を通して寄せられた要望や意見等も踏まえ質問をいたします。  まず、財政問題について伺います。  政府が閣議決定した来年度予算編成の基本方針には、地方財政について人件費抑制や地方単独事業の削減などで歳出を徹底的に見直し、地方財政計画の規模を抑制すると明記されております。国庫補助負担金は行政のスリム化の観点から縮減を進め、地方交付税地方財政計画の抑制で総額抑制するとし、一方、税源移譲は税源配分の見直しを検討すると記するにとどまっております。  政府の地方分権改革推進会議の最終報告でも税源移譲は明確にならず、国の補助金の廃止、地方交付税改革、税源移譲は三位一体で進めるという小泉首相の地方行政改革の基本方針はあいまいで不透明になっており、地方においてまさに死活問題になっております。  そこで、まず国の補助金廃止、税源移譲、地方交付税改革は当然三位一体であるべきでありますが、地方分権改革推進会議の報告についての知事の見解と対応について伺います。  次に、義務教育費国庫負担金の削減による本県への影響についてでありますが、来年度予算で総額五千億円を一般財源化し、その財源は関係者間で協議・調整するものとし、税源移譲には全く触れておりません。義務教育水準維持の観点からも容認できるものではありませんが、知事は本県への影響についてどのように考えておられるのか見解を伺います。  次に、県税収入の減額による財政改革プログラム並びに新年度予算編成への影響について伺います。  今回の補正予算案で県税収入七十八億七千余万円の減額補正が提案されておりますが、これは過去最大規模であり、十二月での県税補正は一九七五年度以来二十七年ぶりとのことであります。本年度の地方税減収は全国的な傾向で、九月末現在、地方財政計画の見込みにより一兆二千から三千億円も下回るようであります。県は県税不足分を補うために減収補てん債を発行するとしておりますが、県債残高は一兆五千五百五十四億円に膨らみ、極めて深刻な状況であります。  我が県は今財政改革プログラムによる財政運営中であり、当然財政改革プログラムにも大きな影響が出るものと思われます。また年度末までにはさらなる減収も懸念されるところであり、十五年度予算編成にも影響があるものと考えますが、知事の見解を伺うものであります。  次に、通告しておりました市町村合併問題については、既に代表質問で議論が交わされましたので割愛いたします。  今、法定合併協議会の設置に向けた取り組みが急がれております。合併については地域住民の自主性と主体性を重んずるのは当然でありますが、現在及び将来ともに住民にとって評価のできる平成の合併になるよう、県としても可能な限りの積極的な支援を強く要請するものであります。  次に、クリーンエネルギー一〇〇%の屋久島について伺います。  新エネ利用特措法が成立し、新エネルギーへの国民の関心が強くなり、本県においても根占町に続き、今月から坊津町で九州最大規模の風力発電の建設が始まるようです。さらに燃料電池をめぐる話題が沸騰していて、ホンダやトヨタが燃料電池車の販売に着手しました。また、トヨタ自動車と日野自動車が共同で燃料電池バスを国産車として初めて展示いたしました。  燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するため、発電効力が高いことや化学反応の過程で発生する熱を有効利用することが可能であります。また排出するのは水だけであり、騒音や振動も発生しないというすぐれたものであります。先日は小泉首相も試乗して満足しておられましたが、今後の課題はコストの低減と電気情報などの規制をどうクリアするかにかかっております。  我が県においては、「まんてん」で今や注目の屋久島において、さらに画期的な実験が行われるようであります。温室効果ガスの二酸化炭素や有害物質を排出しない水素燃料の製造・供給基地を整備し、島内の乗用車に供給する水素社会モデル地区プロジェクトが来年にも始まるようであります。  屋久島電工自動車メーカーや電力業界と協力して来年の半ばに事業会社を設立、廃棄物ゼロを目指す循環型社会づくりに加えて、エネルギー分野でも脱化石燃料を掲げた屋久島モデルとしてアピールしたい考えのようです。年間四千から一万ミリの豊富な雨量を利用して水力発電により電気を供給していますが、今後は風力・太陽光・波力を活用して電源開発に取り組み、発電だけでなく燃料電池車と水素自動車の実用化をにらみ、水素製造工場や貯蔵タンク、充填所を整備する計画であります。  屋久島電工では政府が進める構造改革特区を申請しており、屋久島での規制緩和の前倒しを求めているようです。将来的には沖縄など島外にも水素を供給し、屋久島の経済振興に役立てるとともに、エコツーリズムを絡めた地域づくりを目指しております。  そこで、屋久島で行われるこれらのプロジェクトに対する知事の見解を伺います。  二点目は、このプロジェクトに関連する規制が二〇〇五年から緩和される予定ですが、屋久島電工としては構造改革特区の申請で緩和を前倒ししたいと考えているようですが、本県も強く後押しすべきであると考えますが、知事の見解を伺います。  次に、県民生活の諸問題について伺います。  まず、県営住宅の改善事業について伺います。  公営住宅が建設されて数十年経過し、居住空間の改善をよく相談されることが多くなっております。鹿児島市内においては市営住宅と隣り合わせの県営住宅も多く、市営住宅の改善が目につくため、県民からよく皮肉を言われております。  議員になりたてのころ県に手すりの設置を相談に行ってもなかなか厳しい返事しかもらえなかったのですが、現在手すりの設置率が七八・八%までになっております。さらにバリアフリーの観点からエレベーターの設置が注目されるようになり、本県でも数多くの声が寄せられております。私も県の範囲が広いので大変なことは理解しながら、住民の要望を何回となく県に要望いたしておりました。その結果、志布志町、名瀬市に次ぎ、鹿児島市内でも県営住宅にエレベーター設置を含めた改善事業が実施されることになりました。県民の立場から評価をしたいと思います。  そこで、本年度県営住宅改善事業実施状況について伺います。  先日は桜ケ丘で住民説明会があり、私も参加いたしました。皆さんは明るい表情で説明を聞いておられ、最大の関心は家賃でした。家賃は説明を聞き納得されたようでしたが、別な問題で活発な意見が出ました。その問題とは、浴室の問題でした。給湯設備改善工事で行われるのは、浴槽の交換とシャワーが設置されるだけであります。担当者は、浴室の塗りかえは現時点で考えていないと言っていました。一斉に会場に詰めかけた住民から「浴室の改善なのに浴槽だけがきれいになり浴室の壁はそのままとは何事か」と反発の意見が飛び出しました。私も全く同感で、怒るのも無理ないと思います。  そこで、二点目は浴室の塗装も含めた改善をぜひ行っていただきたいとの思いから、住民説明会での意見集約及び検討状況について伺います。  次に、ITの推進について通告いたしておりましたが、時間の関係で割愛しますが、離島や過疎地域をブロードバンドする際に必要不可欠となる光ファイバーの増設や超高速インターネット衛星の導入に財政的な支援を行う新たな地域間通信バックボーン整備事業が検討されているようでありますので、鹿児島県がデジタルディバイドにならないよう積極的な対応を要請して一回目の質問といたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 4 ◯知事(須賀龍郎君) 去る十月末に地方分権改革推進会議が取りまとめました「事務・事業の在り方に関する意見」は、地方分権改革のさらなる推進という見地から、国と地方の役割分担に応じて社会保障など主要五分野の見直し方針と具体的措置の提言が示されております。しかしながら、国庫補助負担金の廃止・縮減に関しましては、これまで本県が全国知事会等を通じまして要望してまいりました税源移譲を含む税源配分のあり方の検討を同時に行う視点が取り入れられていないことは、まことに残念に存じております。  今後とも地方行財政制度のあり方の検討に当たりましては、地方公共団体の意見も十分に反映して、国から地方への税源移譲等によります地方税財源の充実確保に向けまして万全の措置が講じられますよう、県開発促進協議会全国知事会等を通じまして、あらゆる機会に国に強く要請をしてまいりたいと考えております。  次は、義務教育費国庫負担制度は義務教育の円滑な推進に重要な役割を果たしてきているものと認識いたしておりますが、地方分権改革推進会議の最終報告のとおり、退職手当など五千億円程度が削減された場合には、本県への影響額は百億円程度が見込まれております。しかも、この報告によりますと、財源措置の具体的なあり方が明確に示されておらず、単なる地方への負担転嫁でありまして、到底私どもといたしましては容認できるものではないと考えております。  したがいまして、先般県開発促進協議会の会長であります県議会議長とともに文部科学省に参りまして強くこの点につきましては申し入れをしたところであります。県といたしましては、今後とも教育水準の低下や不均衡、地方の財政負担増などをもたらすことがないように、全国知事会などを通じまして、この点につきましても国に強く要請をしてまいりたいと考えております。  次は、今回製造業の業績悪化やあるいは金融業の収益減少によりまして県税の減額補正を今議会に提案を申し上げているところであります。またこの減収に対しましては、減収補てん債の発行や交付税の算定を通じた調整も見込まれているところであります。しかしながら、法人二税以外の税目につきましても、税収見通しは極めて厳しい状況にございまして、引き続き年度末に向けまして税収の確保を初め所要の財源確保に最大限の努力をしてまいりたいと考えております。  また財政改革プログラムにおきましても、現下の極めて厳しい景気動向などから、今後の財源確保の先行きには予断を許さないものがございますが、来年度予算はもとより、毎年度の予算編成の際にも引き続きまして歳入歳出面における徹底した見直し作業を進めまして財政改革の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。  次は、屋久島電工が屋久島において進めようとしております水素社会モデル地区プロジェクトは、水力発電や風力発電等の再生可能エネルギーによって水素を製造し、島内の自動車をすべて水素燃料化しようとするものでありまして、将来的には屋久島を水素の供給基地とするなど、世界自然遺産の島にふさわしい水素社会の実現を図ることを目的としていると伺っております。このような再生可能エネルギーを活用したプロジェクトが進められることにつきましては、地球環境問題への対応という面から見ましても極めて有意義なことであると考えております。  屋久島電工におきましては現在具体的な計画を検討中ということでございますので、今後の検討の状況等も十分見守ってまいりたいと考えております。 5 ◯企画部長(迫田 昌君) 屋久島電工が国に提案をいたしました水素社会モデル地区プロジェクトに係る規制緩和は、そのほとんどが水素ガス取り扱いに係る保安上の事項でございますけれども、これらにつきましては安全基準に係る事項でありますことから、国におきましては平成十七年初めまでに所要の基準を整備する予定と聞いております。  屋久島電工におきましては現在具体的な計画を検討中とのことでありますことから、県といたしましては、国や屋久島電工の今後の検討状況等も見極めながら適切に対応してまいりたいと考えております。 6 ◯土木部長(直江延明君) 既設公営住宅住戸改善事業につきましては、公営住宅のストックを効率的かつ総合的に活用いたしますため、「鹿児島県公営住宅ストック総合活用計画」に基づきまして、団地の状況に応じて給湯設備等の改善、エレベーター設置あるいは住宅内部の段差解消工事などを進めているところでございます。平成十四年度におきましては、鹿児島市の桜ケ丘団地など県内六団地におきまして住戸改善工事を実施しているところでございます。  事業の実施に当たって入居者から出されます要望につきましては、県内の他団地の整備水準等に照らしまして可能なものにつきましては対応するよう努めているところでございまして、例えば桜ケ丘団地の浴室の壁の塗りかえにつきましては、今般浴室を含みます給湯設備改善工事を行うこととしたことから、検討の結果、この改善工事の中であわせて実施するのが適当と判断いたしまして、これを行うこととしたところでございます。  今後とも団地の状況や入居者の意向を踏まえまして、住戸改善事業の推進に努めてまいりたいと考えております。    [成尾信春君登壇] 7 ◯成尾信春君 それぞれ答弁をいただきましたが、時間の関係で最後にまとめて述べさせていただくこととし、引き続き質問に移ります。  岩石採取計画の認可について伺います。  大島郡住用村にある戸玉地区は、現在でも採石業者が三社操業しております。幹線道路からかなり離れた集落であり、私が行ったのはたまたま日曜日でしたので、静かな内海に面したすばらしい景色のところでした。  地区の公民館で住民の方々から説明を受けました。地区と業者間においては公害等が発生しないよう公害防止協定書を取り交わしているにもかかわらず、業者は協定書を無視するような操業をしているとのこと。そのため海岸から吹き寄せる風に乗り採石場の粉じんが舞い降りるし、大型ダンプの巻き上げる粉じん、積み込み時の粉じんにより、終日窓を閉めての生活を余儀なくされる上、幼児がぜんそくになり集落を後にした人もいると伺いました。  また、ダイナマイトによる破砕が行われておりコンクリート家屋にひびが入っており、雨漏りのする家屋もあるようです。また、採石運搬船による集積詰め込み時の騒音や振動により地区の方々は粉じん・騒音・振動等により大変な苦痛を味わっておられました。また、この海域はウニ・トコブシ・イセエビ等の産卵場として最適地であり、この集落の方々の多くが漁業を営んでおられるため、放置土砂の海への流出は海域汚染の損害を受けるとのことでした。私も住民の皆様の御意見を伺いながら、驚き言葉を失いました。  そうした現状の中で新たに採石場の建設が取りざたされることになり、地区住民は平成八年住民全員で新規の採石計画には許可をしない、許可条件遵守のための指導・監督の強化について住用村議会へ意見書を提出し、全会一致で採択されているのにどうしてと怒りに満ちていました。  これらの経過を受けて、今回の計画に対して住用村長は、国の特別天然記念物アマミノクロウサギなどの希少動物への影響があるとした上で認可は好ましくないとの意見書を県に提出されています。村長の意見書には、文化財保護法や砂防法、林道通行の問題点も記されております。  そこで、住用村戸玉地区における今回の岩石採取計画の認可申請に対して住民は業者の対応に不信感を深めていますが、県はこれまでどのような取り組みをしてこられたのか、また今後どのような取り組みをするつもりか伺います。また、獅子島の事例は島で初めての採石計画であったのに対して、今回の住用村の事例はこの地区だけで四番目の採石場計画であり、地域住民に与える影響など県が判断する場合の前提条件が異なっていると考えますが、そこで獅子島での裁判の概要と今回の申請との相違について伺います。  さらに、住民は計画地は川の上流にあり、大雨や台風時に集落に危険が及ぶと叫んでおります。住民の切なる要望を受け不認可にすることこそ県民の安全な生活を守ることになると考えますが、決意を伺います。  次に、開陽高校の開校に伴う周辺整備について伺います。  本格的な単位制高校である開陽高校が来年の開校に向けて建設が着実に進展し、雄大な校舎の全景を目の当たりにすることができるようになってまいりました。谷山に住む一人として近くを通るたびにうれしくもあり、この学校に通う生徒の主体的な学習や体験活動により生徒一人一人の人間性の完成を心より願ってやみません。地元の方々も喜んでおられることと思います。  反面、交通渋滞の問題で心配の声も聞かれます。現在区画整理事業による下水道工事等も行われており、さらに開校に伴い全日制の生徒や通信制、定時制の生徒が出入りすると相当混雑が予想されるのではないかとの心配であります。  そこで伺いますが、第一点は、県道鹿児島加世田線道路改修状況についてお示しください。  二点目は、南高校横の市道については普段も混雑しておりますが、区画整理事業との兼ね合いもあると思いますが、どのような道路改修をされるのか伺うとともに、今後の計画についてもお示しください。  三点目は、開陽高校の通学区は全県下ですので、公共交通機関を利用する生徒も多くなると考えますが、その対策はどのように考えておられるのか伺います。特にJRを利用する生徒の高校までの通学路の確保策についてお示しください。  次に、観光振興策について伺います。  昨年映画「ホタル」の影響もあり、さらには航空会社の参入により鹿児島県への観光客が増加しており、本県の観光振興の観点から大変喜んでおります。団体旅行が少なくなり個人旅行が主流となった今、観光に新しい切り口が求められております。  その一つとして、地域の特色を生かした産業観光の考えが出始めています。産業観光を提唱している須田寛JR東海会長によると、鹿児島での産業観光は江戸時代にできた日本最初の工場群「集成館」を初めとした遺跡、昔ながらの農漁業や菱刈金山等の古い産業観光資源、焼酎工場や喜入備蓄基地などの現在の資源、種子島宇宙センターという未来の資源に恵まれており、従来の観光地を絡めるとすばらしい観光コースができると言われております。  そこで第一点目は、県では「観光まごころ県民運動推進会議」を設立され鋭意取り組んでおられますが、観光客の受け入れについて具体的な対策を伺います。  二点目は、他の県に行った県民や県外観光客からよく言われるのですが、観光地までの道順がはっきりしない。いわゆる他の県では親切な標識があり迷うことがないのに、本県では車で施設へ行こうとして幹線道路を走ると、その近くまでこないと標識がなく道に迷うことが多いとのことでした。そこで観光客にわかりやすい親切で丁寧な標識の設置が極めて重要であると考えますが、所見と今後の取り組みについて伺います。  次に、保健福祉行政について伺います。  私は数多くの入学式に参加しておりますが、桜丘養護学校の入学式ほど感動した入学式はありませんでした。小学校一年生と中学一年生の二人だけの入学式でした。新入生はペルテス病のため車いすの上に足を開いたまま金属の棒で固定されておりました。在校生の中にも同じような子もいました。しかし、校長先生の話に聞き入る新入生の目は輝き、真剣な様子に感動をいたしました。  子供たちは整肢園で生活しながら学校へ通っているとのことでございますが、一点目は、現在の入所者数と、そのうちペルテス病での入所者数について伺います。入学式終了後、保護者に祝福を言った折、「子供たちの真剣さに親としても頑張りがいがあります。しかし、通所するために経済的な負担が多いので困ります」とのことでありました。  二点目は、整肢園に入所している児童生徒の土・日等における帰宅の実態はどのようになっているのでしょうか。また、帰宅する際の交通費等への助成はどうなっているのか伺います。  三点目は、保護者の中には離島からの入所者もおられ、入所児童を見舞うとき交通費に加えて宿泊費がかかりますが、このような保護者の負担軽減についてどのように取り組んでおられるのか伺います。  次に、青少年の健全育成について伺います。  初めに、学校週五日制に伴う遊び場の確保について伺います。  「子ども一一〇番」が学校週五日制が実施されて土曜日の過ごし方について子供たちに調査した結果があります。それによると、「土曜日何してた」の質問では、小学生は、「好きなこと・遊び」三四・七%、「勉強・習い事」二六・四%が上位を占め、それにイベント参加、のんびり・ぶらぶら、お手伝い、アルバイトの順でした。中学生は、「好きなこと・遊び」が四二・二%、群を抜いて多く、「部活」一八・一%、「勉強・習い事」一四・七%、のんびり・ぶらぶらと続きます。  これに対して「本当は何したいの」の質問では、小学生は、「遊びたい・好きなことをしたい」五七・六%で圧倒的でした。「出かけたい・旅行したい」一八・二%で二番目に多いのですが、「何してる」の質問にはなかったことから、現実と理想のギャップがあらわれているようであります。中学生は、「遊びたい・好きなことをしたい」四八・八%で、「ゆっくりしたい」一六・三%、「学校に行きたい・部活したい」一一・六%の順でした。ゆっくりしたいけど、部活や習い事をしなければおくれると感じている中学生が多いことがわかります。  一方、両親とも共稼ぎが多く土曜日に休みを取れないため、保護者は子供たちの土曜日の過ごし方に対する不安や、この制度への不満が充満しております。そこで土曜日の学校独自か、または地域での遊び場等の確保について、本県での実施状況はどのようになっているかお示しください。  次に、有害図書の取り締まり対策について伺います。  今議会に青少年保護育成条例の改正案が提案されておりますが、これは有害図書の自動販売機等への収納禁止規定に違反したものに対する罰金の額を二十万円から三十万円に引き上げようとする改正案であります。今、街には青少年に有害な図書がはんらんし、青少年の健全育成に大きな障害となっております。有害図書に限らず、たばこやアルコール類も対面販売なら未成年者をチェックできますが、自動販売機ではチェックは不可能で簡単に入手できます。またインターネットではいとも簡単に卑わいな写真を見たり購入できたりし、ほとんど野放しの状態にあります。  そこで伺いますが、まず青少年が売春等の性的被害者になる、いわゆる福祉犯罪の状況について県警本部長に伺います。また、自販機による有害図書違反の現況についても明らかにしてください。  次に、本県における自販機の設置状況と設置を許さない環境づくりについてであります。  青少年に有害な図書の販売について、地域の理解と協力を得て有害図書を販売する自販機の設置場所を提供しないよう地域ぐるみでの取り組みが肝要でありますが、いかがでありましょうか、見解を伺います。  次に、より積極的な有害図書収納自販機の取り締まりについて伺います。  有害図書を収納した自販機は特定されておりますので徹底的にマークし取り締まりを強化すれば、有害図書の販売を目的とする自販機を根絶することは困難なことではないと考えますが、いかがでしょうか。積極的な答弁を求めます。  最後に、インターネットを利用した有害電子図書の実態把握と取り締まりについてお尋ねし、二回目の質問といたします。 8 ◯商工観光労働部長(岡積常治君) 今回の住用村戸玉地区における岩石の採取計画認可申請につきましては、採石法の規定によりまして住用村長の意見を聞くとともに、十一月十四日に現地調査を行ったところであります。採石法においては岩石の採取計画認可申請が出された場合、個々の案件について個別に同法に規定する認可の基準に照らして判断することとなっております。  東町獅子島の場合は、地元町長から「基盤産業である水産業への影響が懸念される」という趣旨の意見が出され、また県としても同法の認可の基準に照らし審査を行い不認可処分としたところでありますが、国の公害等調整委員会において「不認可したことは違法な処分である」と裁定されたことから最終的には認可したところでございます。  なお、今回の認可申請については、今後申請者と地元との話し合いも持たれると思いますが、いずれにいたしましても採石法の規定に基づいて審査を行い、適切に対処してまいりたいと考えております。  県民を初め観光事業者や関係団体・業界、市町村、県が一体となって「観光まごころ県民運動」を推進するため、去る十月二十八日「観光まごころ県民運動推進会議」を設立したところであります。また、今月十七日には「再び訪れたくなる、ふれあいの観光かごしまを目指して」をテーマとするシンポジウムを開催いたしますほか、観光まごころワッペン運動の展開やきれいな観光地づくりに対する表彰、観光まごころ県民運動推進員の設置、ホスピタリティマニュアルの作成など、県民への普及啓発や機運の醸成に努めることといたしております。  今後とも観光客を温かく親切に迎える運動を県民総ぐるみで展開し、観光客が「再び訪れたい」と思うような観光かごしまづくりを進めてまいりたいと考えております。  観光案内標識については、これまで主要な道路沿線や空港、港湾などのほか、指宿、霧島、桜島などの拠点的な観光地に計画的に整備してきております。また、主要観光地を案内する観光案内板を主要な国道沿いや高速道路のサービスエリアを初め県内各地の観光地に設置しているところであります。  県といたしましては、本県を訪れる観光客が快適かつ安全に観光が楽しめるよう、道路管理者や市町村と連携を図りながら効果的な観光案内標識の整備充実に努めてまいりたいと考えております。 9 ◯土木部長(直江延明君) 開陽高校の開校に伴います周辺道路整備のうち谷山地区の県道鹿児島加世田線につきましては、一部隘路となっておりました谷山インターチェンジ付近の二区間、合計の延長二・二キロメートルにおきまして、平成七年度から線形改良や歩道の整備を進めてきたところでございまして、これらにつきましてはいずれも平成十五年春の完成を予定いたしております。  また、鹿児島南高校から開陽高校に至ります市道につきましては、現在鹿児島市において谷山第二土地区画整理事業の中で施工中でありまして、平成十五年の開校までには整備を終えると聞いているところでございます。また、残されました開陽高校周辺の市道につきましても今後できるだけ早い時期の完成を目指し整備を進めていきたいと聞いているところでございます。 10 ◯教育長(福元 紘君) 開陽高校は来年四月に県農業試験場跡地に移転開校いたしますが、開校時の生徒数は、全日制課程が二百人程度、定時制課程が三百二十人程度、また通信制課程は日曜日、月曜日のスクーリング時に三百人程度を予定しており、多くの生徒が新たに谷山地区に通学することになります。このため、現在JRや市電・市バス等に対して交通アクセスの充実をお願いしているところでございます。  なお、JRによる通学につきましては、開陽高校から谷山駅が約一・二キロメートル、慈眼寺駅が約一キロメートルの距離にあり、自宅の所在地等で利用する駅も決まってくると思いますが、交通量などの道路状況を考慮し、学校において安全な通学路を指導するなどして生徒の安全が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。  本県における完全学校週五日制に伴う事業の実施状況につきましては、本年八月に実施された文部科学省の調査によりますと、土曜日に市町村が取り組んだ事業の実施率は九五%となっております。事業内容では、スポーツ活動、自然体験活動が全国同様多くなっていますが、他県と比較して奉仕・ボランティア体験や「郷土の伝統芸能や史跡にふれる」活動の実施率が高く、また土曜日に子供や家族を対象に教室や図書館、校庭等を開放している学校は、小学校で七九%、中学校で五九%となっております。子供たちの活動への参加状況は、「一度でも参加したことがある」と回答した小学生が七五%、中学生では五六%であります。これらの調査結果はいずれも全国平均を上回っていますが、今後とも市町村や関係団体等と連携をとりながら、子供たちの豊かな体験活動の機会とその場の確保に努めてまいりたいと考えております。 11 ◯警察本部長(久保潤二君) まず一点目でございますが、十月末現在の福祉犯の検挙状況につきましては七十九件、九十六名でございまして、被害少年百一名を保護しております。前年同期と比べますと、検挙件数で十九件、検挙人員で二十五名ということで、相当の増加となっております。このうち少年の性的被害を伴う児童買春あるいは県条例違反のいん行などで四十一件、三十三名を検挙しておりまして、被害少年三十名を保護しているところでございます。これにつきましても、検挙件数が十四件、検挙人員も十四名と、増加となっているところでございます。  それから二点目は有害図書収納事案でございますが、これにつきましては平成十二年以降昨年まで四業者を検挙しておりまして、自動販売機五十三台の捜索をしております。本年も県外の一業者を検挙しておりますけれども、悪質な業者が後を絶たないというような非常に厳しい状況でございます。県警としましては、今後も自動販売機に対する監視を強化しまして悪質業者につきましては徹底的に検挙してまいります。  三点目はインターネット上の有害サイトでございますが、これにつきましては県警本部で現在サイバーパトロールあるいはサイバー・モニターの委嘱をしておりまして、これによりまして情報の収集をしておるところでございます。検挙事案といたしましては、平成十二年の二月にホームページにわいせつ画像を掲載した事案がございますが、こういう事案につきましては、今後ともサイバーパトロールなどによる情報収集あるいはインターネット防犯連絡協議会との連携、あるいは関連法令の効果的な運用をしまして厳正に対応してまいります。
    12 ◯保健福祉部長(中村健二君) 整肢園の平成十四年十二月一日現在の入所児童数は三十五名、うちペルテス病での入所児童数は八名でございます。平成十三年度における入所児童の帰宅状況につきましては、授業などのない土曜・日曜日等に月一回帰宅した児童の割合は三三%、月二回は三八%、帰宅しなかった児童は二九%であり、入所児童の約七割は毎月帰宅をされております。その交通費につきましては、重度の障害を持つ児童は身体障害者手帳による割引制度を活用されているところであります。  なお、整肢園では入所児童の処遇の向上などを図るため施設改善を現在進めており、新たに宿泊可能な家族交流室を整備し、離島などの遠隔地の保護者の負担軽減を図ることとしております。 13 ◯環境生活部長(牛之濱道久君) 図書・ビデオの自動販売機は、今月一日現在で二十四市町の四十四カ所に百四十二台が設置されております。県青少年保護育成条例は自動販売機の設置について「届出制」とし、有害図書などの収納を禁止しておりますが、県下百四十二台の自動販売機のうち百四十台に有害図書等が収納されている状況にございます。  このため県としましては、県警とも連携をとりながら有害図書等を自動販売機に収納しないよう業者への指導を行いますとともに、青少年育成団体、警察、学校、書店など関係業界などで構成する「青少年環境づくり懇談会」等を開催して、自動販売機の設置業者に有害図書等の撤去をさらに要請することや、自動販売機の設置に係る土地の貸し付け契約は慎重を期することなどを申し合わせるなどして取り組みを推進しているところでございます。  青少年の健全育成のためには、今後関係団体とさらに連携を深めて広報啓発活動を展開していくことが必要であると認識しておりますが、このような取り組みに加えまして、さきに県議会から意見書が提出されました「青少年健全育成に関する基本法」の制定なども必要と考えておりまして、今後とも国に対して要請してまいりたいと存じます。  なお、県では有害図書等を自動販売機に収納する違反の罰金額を引き上げるための条例改正を今議会に提案しているものでございます。    [成尾信春君登壇] 14 ◯成尾信春君 それぞれ御答弁いただきました。  行財政問題につきましては国、地方を通じて極めて厳しい財政状況にあり、この財政危機が引き金になり、地方分権や市町村合併、財政改革論議が盛んになっております。国の補助金の廃止、地方交付税改革、税源移譲は当然三位一体で進めるべきでありますので、知事の答弁にもありましたとおり、国に対して地方の実情をきちっと訴えて納得のいく改革になりますよう強く要請いたしておきます。  屋久島での画期的な挑戦については先ほど答弁がありましたとおりでありますが、電力会社が出資する日本自然エネルギーが支援を検討しているほか、ホンダやBMWも水素燃料車のリース提供を打診しているようであります。脱化石燃料を掲げて屋久島モデルとして世界にアピールできるいいチャンスですので、県としても特区の申請を初め最大の支援をよろしくお願いいたします。  県営住宅については、早速住民の要望を聞き入れていただき評価いたします。来年の十月ごろの完成を目指して工事が始まりますが、この答弁を聞かれて住民の方々もさぞかし喜ばれることと思います。  住用村での岩石採取計画の認可につきましては、住民は業者への不信がぬぐい切れない中で業者とどう話し合えばよいのか全く先の見えない状況です。許可を与える県としてもっと積極的なかかわりをすることこそ肝要であり、今後の取り組みに期待をいたします。  開陽高校については、地域のシンボルとして地元住民からも喜ばれる学校になってもらうためにしっかりとした対策をお願いいたします。  整肢園入所者の保護者の負担軽減については、離島の方々等が宿泊できる家族交流室を整備されるとの答弁は評価いたしたいと思います。  学校週五日制については、保護者の方々の中には「今回の制度は教師の勤務時間が確保されただけ」などという皮肉とも嘆きともつかない声をよく聞きます。  川崎市では、来年から全市立小学校で児童健全育成事業「わくわくプラザ」に対して国の補助金交付を要求しております。この事業は、小学校一年から六年までの全児童を対象に放課後や土曜日、夏休みなどに小学校施設を活用し、児童の遊び場を確保するものであります。従来の留守家庭事業を継承発展させたものであります。  学校週五日制の趣旨はよく理解いたしますが、子供を持つ親の声に行政がこたえようと国へ申し入れをするという、まさに住民の目線に立った試行錯誤の試みこそ肝要であると思います。  さらに浅野宮城県知事は、補助金の縦割行政を乗りかえる事例をつくり出しております。重い障害のある子供が養護学校に通うとき、口から御飯が食べられないので管を使って胃に送り込むため、お母さんが一緒に学校に行かなければならない。学校の先生は医療従事者でないため、この行為ができない。そこで訪問看護ステーションから看護師を学校に派遣する要医療通学支援事業をつくり、厚生労働省と文部科学省の縦割を乗り越えて福祉分野で地域の実情に合った創意工夫の追求をされております。我が県でももっと創意工夫をして鹿児島モデルをつくり出してほしいことを強く要望いたしておきます。  青少年の健全育成にとっては、さまざまな要因で極めて有害な環境になっております。インターネットによる有害な電子図画の販売等の取り締まりは困難な状況ではありますが、有害図書の根絶については県警本部長からの答弁にもありましたように御苦労もあろうかと思いますが、県民の理解と協力を得ながらより徹底した対策を要請するものであります。  最後に、「水は答えを知っている」という本に、水をコップの中に入れ、分けて、「ありがとう」とか「ばかやろう」などと書いた紙を張って凍らせる。その結晶を電子顕微鏡で観察すると、それぞれ明暗の表情を見せるというのであります。たかが水と思いますが、著者はれっきとした水博士であり、その結晶写真を見ると信じる以外にありません。著者は、一杯の水を飲むとき「ありがとう」と感謝の言葉をかけて飲むことを勧めております。  水さえ効果があるわけであります。これからは周りのすべての人また物に感謝しながら、鹿児島が元気を取り戻せるよう頑張ることをお誓いし質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(溝口宏二君) 次は高橋稔君に発言を許可いたします。    [高橋 稔君登壇](拍手) 16 ◯高橋 稔君 去る十月五日、国分の「上野原縄文の森」がオープンいたしました。まさに天からの贈り物である上野原遺跡は考古学ファンにはたまらない夢の発掘であり、これまでの歴史がひっくり返る大発見であったわけであります。そして今、およそ九千五百年の時を超え、国内最古最大級の集落遺跡がよみがえったのであります。当時の生活をしのばせる連結土工や落とし穴、矢じりや土器などは私たちの想像をはるかに超えた文化的なものでありました。あの大地に立つと、人類の偉大さ、たくましさを感じ、不思議な感動と勇気がわいてまいります。既に開園以来七万人が訪れたとのことであります。私たちはこの歴史的遺産を大切に大事にしながら、できるだけ多くの皆様方にいろいろと活用していただきたいものだと思っております。  さて、総務行政より質問に入ります。  まず、市町村合併の問題であります。  このことにつきましては、県政の重要課題ということで私自身十数年取り組んできた特別な思いもあり、これまで数回にわたり質問させていただきました。今議会既に代表質問でも質問がなされておりますが、私なりに質問をさせていただきたいと思います。  いよいよ平成十七年の三月、合併特例法期限まで最終段階となって残された時間がなくなってまいりました。ここに来て、どの地域もそれぞれ自分たちの思いで自主的に話し合いをしながら合併に突入しようといたしております。合併に向かうということはそれなりに評価するわけでありますが、偏りのないバランスのとれたいいまちをつくるにはどうしても調整役が必要であります。  住民のアンケートをとると、都合のいい大きな恵まれたまちとくっつきたがるわけであります。鹿児島市周辺もそのような傾向にあるようでありますが、残されたところはどうなるのか、果たしてそれでいいのでしょうか。  自主的な合併を推進します、パターンは示しました、お手伝いはします、ただ合併して三万、十万のまちになればそれでいいというものでもないわけであります。しっかりと三十年、五十年先に対応できる理想的なまちづくりのためにも県が積極的に介入すべきであったと思うのであります。  私は、これまでにも県の指導力の必要性を強く訴えてまいりました。今や国家の仕組みを立て直すとき、市町村合併は地方が生き残れるかどうかがかかった最も重要な課題であります。政府においても歴代内閣が国・地方の行財政改革を唱えながら先送りをし、実に半世紀近くもぬるま湯に浸ってきたのであります。私を含め政治に携わるすべての人々がみずからの改革を含めた議論をどこまで真剣にやってきたのか疑問に感じております。  今国家財政は逼迫し、国際化・自由化・情報化社会の中で、地方自治はどうやってどこまで確立していけばよいのか、追い込まれてどうしようもなくなるまで国も地方自治体も対応しなかったのであります。民間企業であれば会社の将来性を考えながら、国という元請からいつ仕事や金が回らなくなるかもしれないという危機感を持ち、企業グループの生き残りをかけて企業役員、スタッフそれぞれを派遣し、絶えず徹底した合理化や時代に合わせた体制の確立、改革をやってきたはずであります。  よく「民間の発想」、「企業感覚で」という言葉が使われるわけでありますが、地方自治体五十年・百年の大計をはかるこの大事な合併問題には、大局的見地からと企業感覚の指導力が求められていたのではないかと思うのであります。しかしながら、いよいよ時間がなくなってまいりました。  そこで、お伺いいたします。  全国の市町村合併の状況と取り組み状況について、また本県の取り組み状況と県内同時進行状況の中、県の窓口体制は十分なのか、その指導性についてもお伺いいたします。  二点目に、法定合併協議会設置へ向けて時間がない中でさまざまな問題があると思うわけでございますが、どのような点があるのか。また、その対策についてお伺いいたします。  三点目に、いまだに情報不足を指摘する声もあるようでありますが、PRの現状と今後の対応についてお伺いいたします。  また道州制の問題につきましては、昨日同一内容の質問がなされておりますので、割愛させていただきます。  次に、消防団員の件についてお伺いいたします。  消防団員の確保につきましては、社会構造の変化からどの地域にあっても難しい昨今の現状があるわけでありますが、消防団員確保の一環として、このほど総務省消防庁が都道府県に対し地方公務員の消防団入団を促進するよう求めたとのことであります。この要請を受け、今後どのように対応されるつもりなのか考えをお伺いいたします。  二点目に、本県における消防団員の現状について、女性団員の現状もあわせてお伺いいたします。  三点目に、既に地方公務員が入団している地域はどのぐらいあるのか、その現状についてお聞かせいただきたいと思います。  次にカラモジアの件でございますが、「汗と土と潮のふれあい」をテーマに地方の草の根国際交流から始まったカライモ交流は発足以来二十周年を迎えておりますが、一時問題等もあり大きな岐路に立たされております。特に地方とアジア太平洋地域との国際交流ということで、これまで五十数カ国、五十数市町村が交流し、注目されてきただけに残念な気がいたしております。  今せっかく芽生えたこの国際交流の息吹を何とか立て直したいということで、財団法人カラモジアが再建へ向けてスタートいたしているわけであります。なかなか厳しい状況にあると聞いておりますが、再建へ向けての問題点は何か。また、どのような指導を行っているのかお伺いいたします。  次に、警察行政についてお伺いいたします。  北朝鮮による拉致事件や国際テロ事件など世界的にも緊張が走り、平和が脅かされる今日の状況にあります。南北六百キロメートル、人ごとでない本県の現状や国際化・情報化の進展に伴い複雑・多様化する犯罪の中、県民の暮らしと安全を守るため日夜御努力をいただいておりますことに感謝いたしているところであります。おかげさまで本年度は刑法犯の検挙率も向上しているようでありますし、少年非行も減少してきているようでございます。  そこでまずお伺いいたしますが、一点目に、少年非行が減少してきているようでございますが、その要因についてお伺いいたします。  二点目に、去る平成十一年十月に全国的に注目をされた不安防止条例を制定し、その後十二年にストーカー規制法が制定されたわけでありますが、条例や規制制定後、これまでの取り締まり状況についてお伺いいたします。  三点目に、ネット犯罪、ハイテク犯罪の現状についてお伺いいたします。最近全国的にはドアをあけるピッキング犯罪やひったくり事件が多発しているとのことでありますが、本県の現状と防止策についてお伺いいたします。  四点目に、年末年始の交通事故防止について、特に条例制定を目指す暴走族についてお伺いいたします。  次に、農政問題について数点お伺いいたします。  日本の農業・農村は食を支えているだけではなく、国土・水資源・環境・文化・福祉・健康などさまざまな面に貢献する多面的な機能を有しており、水稲作付はその最たるものであります。しかしながら、米の消費量が落ち込み需給バランスがとれず、来年度も本年度産に五万ヘクタールを上乗せし、過去最大となる百六万ヘクタールの生産調整を行おうとしております。国内は既に米の生産が可能な水田の三分の一程度が生産を打ち切っており、転作奨励金も五十二億円ふえて千九百四十八億円にも達する見込みとなっております。  食糧自給率の向上を掲げながら、でき過ぎたら困るというので青田刈りを行う、売る自由・つくる自由を掲げながら価格水準の安定を図らなければならない。農家は複雑な思いで丹精込めてつくった大事な米を出荷前に刈り取ってしまわなければならないのであります。工場製品では出荷前の製品を壊してしまうというようなことは、まずないわけであります。農家に「元気を出せ」と言われても発憤できない部分もあるわけであります。  近年、米作農家は専業が少なくなり兼業農家がふえております。しかも僻地や山間地域においては高齢化も進展し、転作から耕作放棄のところもふえており、一度荒らした田んぼはなかなかもとには戻らないわけであります。そのような地域の将来十年後を憂う声もあります。  そこで、お伺いいたします。  一点目に、僻地や山間部における耕作放棄の現状、高齢化状況、担い手対策についてお伺いいたします。  二点目に、農業全般において経営状況のいい農家もあれば、固定負債を抱える農家もあるわけであります。ここ数年の負債農家の現状と要因、支援措置についてお伺いいたします。  三点目に、環境保全型農業の推進が図られているわけでございますが、化学農薬の使用状況についてお伺いいたします。また、無化学・無農薬栽培の農産物が近年注目をされているわけでありますが、現状と課題、支援策についてお伺いいたします。  四点目に、県内各地において都市と農村の交流を目指すグリーン・ツーリズムの取り組みがなされているところでありますが、その取り組み状況とその効果についてお伺いいたします。  五点目に、農業への関心が近年高まってきており、営農塾などで学ぶ人が多いと聞いております。新規就農希望者の状況と就農まで至らなかった方の問題点は何か、また新規就農者のうち離農者の状況、要因についてもお伺いいたします。  六点目に、これまで苦労続きであった県産牛が最近全国畜産共進会等において高い評価を得ており、価格もいい状態になってきているのではないかと思っておりますが、現在どのような状況にあるのか、価格を含め、県産牛の評価と子牛価格相場の見通しについてお伺いいたします。  七点目に、今回発生した作物病害虫の発生状況についてお伺いいたします。中でもカメムシは異常発生したとも言われているわけでありますが、発生状況、原因、対応策についてお伺いいたします。また、ジャンボタニシが今県内でどこまで繁殖しているのか、その現状と対策についてお伺いいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 17 ◯知事(須賀龍郎君) 市町村合併につきましては、昭和六十年度以降、これまで全国では二十七件の市町村合併が行われております。ことしの十月現在における全国の市町村の取り組み状況につきましては、全国市町村の八二%に当たります二千六百四十七の市町村が協議会や研究会などの組織を設置いたしまして、合併に向けた取り組みを進めているところであります。  本県におきましては、現在県内市町村の九三%に当たります八十九市町村が参加して二十の協議会や研究会等が設置されておりまして、鹿児島地区、川西薩地区など五地区において法定合併協議会の設置に向けた手続が進められておりますなど、県下各地域におきまして合併実現に向けた具体的な取り組みが進められております。  県といたしましては、市町村における取り組みを積極的に支援してまいりますために、昨年五月には私を本部長といたします「県市町村合併支援本部」を設置いたしますとともに、ことしの四月には市町村合併推進室の体制を充実強化したところであります。また、合併重点支援地域に指定しました地域を所管しております総務事務所等には「市町村合併地域支援本部」を設置いたしますなど、その体制の強化に努めているところであります。  県といたしましては、これらの組織を中心といたしまして、県下各地域における取り組みに対しまして情報提供はもとより必要な助言を行いますなど、さまざまな支援を行っているところであります。今後とも地域における取り組みに対しましては積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。 18 ◯総務部長(佐々木敦朗君) 合併協議に要する期間につきましては、国が昨年示したマニュアルによりますと、協議が順調に進んだとしても合併協議会設置準備も含めて二十二カ月の期間が目安とされておりまして、合併特例法の期限が平成十七年三月末までであるということを踏まえますと、本年度は大変重要な年であると認識しております。現在県内においては五地区において法定合併協議会の設置に向けた手続が進められるなど、県下各地域におきまして合併実現に向けた具体的な取り組みが進展してきておりますが、一方で合併の必要性でありますとか枠組みについての議論に時間を要している地域もあるわけでございます。  そのような地域におきましても行財政シミュレーション等の結果をもとにした住民説明会等がなされるなど住民と一体となって合併実現に向けた努力がなされているところでございまして、県としては、今後各地域においてできるだけ早い時期に法定合併協議会が設置されることを期待しておりまして、今後とも合併実現までの各段階に応じた支援を積極的に行ってまいりたいと存じます。  県においては、これまで「県政かわら版」やマスメディアを活用した広報啓発、啓発ビデオの作成・配布等により、県民の方々の市町村合併に関する機運の醸成を図ってきたところでございます。また市町村合併を進めるに当たっては、地域の現状と展望などその判断をするための情報が十分に提供される必要があると考えており、県としては「地域の将来像等に関する調査研究事業」の実施や地域が実施する「行財政シミュレーション」に対する助成を行うとともに、その調査結果を踏まえたシンポジウムや市町村が行う住民説明会等を通じて地域住民の方々への情報提供に努めているところでございます。  県としては、今後とも県民の方々への広報啓発に努めますとともに、地域の状況を踏まえつつ情報提供はもとより必要な助言を行い、地域における自主的・主体的な取り組みに対しさまざまな支援を積極的に行ってまいりたいと存じます。  本県の消防団員数は平成十四年四月一日現在で一万六千六百九十三人となっており、高齢化とともに年々減少の傾向にございます。このうち女性消防団員は九市町村で六十二人、また地方公務員は五十九の市町村で千百十五人となっております。県としては、これまでも消防団の活性化や団員確保のため青年層の参加促進を総合的・計画的に推進するよう市町村に対し指導してきておりますが、このような中で先般総務省消防庁から「地方公共団体職員による消防団員への入団促進」について通知があり、これを受けて県内の市町村に対しても職員の消防団への入団促進について文書で要請をしたところでございます。今後とも女性消防団員や地方公共団体職員を含む青年層の積極的な加入促進が図られるよう努めてまいりたいと存じます。  財団法人カラモジアの再建について、県は八月二十七日付で基本財産額五千万円の財団として再スタートする再生計画書及び基本財産復元計画書を承認し、その進捗状況等について二カ月ごとに報告を受けることとしております。先般の報告によりますと、基本財産の復元が本年十一月末の計画額約二千万円に対し実績が約一千六百万円にとどまっておりますとともに、平成十四年度の運営資金についても寄附金や会費等の収入が目標額を下回っている状況でございます。  県といたしましては、財団の適正な業務運営について必要な指導を行いますとともに必要な資金の確保を図るためにも、県民の理解と協力を得るための財団活動の情報発信や関係者一体となった取り組みに努めるよう指導をしているところでございます。  財団法人カラモジアが一日も早く再建を達成され、本県を代表する国際交流・協力団体として活発な取り組みを展開することができるよう、引き続き必要な助言・指導を行ってまいりたいと存じます。 19 ◯警察本部長(久保潤二君) 一点目の少年非行につきましては、十月末現在刑法犯少年が千五百十三人で前年に比べますと一九・一%の減少、不良行為少年につきましては一万三千九百六人で一〇%の減少となっております。この減少の要因につきましては、暴走族などの非行集団に対する徹底した検挙、それから学校関係者あるいは少年警察ボランティアなど関係機関・団体が一体となった街頭補導活動が成果を上げたものと考えているところでございます。  二点目は不安防止条例でございますが、この条例違反で二十三件を現在まで検挙しております。その内訳につきましては、卑わい行為が二十一件、つきまとい行為などが二件という状況でございます。ストーカー規制法につきましては百七十九件の相談を受けまして、同法違反で八件を検挙しておりますし、そのほか刑法等の法令を適用しまして二十五件のストーカー行為を検挙している状況にございます。  三点目はネット・ハイテク犯罪の関係ですが、まず相談件数につきましては、昨年が二百二十五件、そして本年は十月末現在で既に二百三十一件となりまして、年々増加の傾向にございます。検挙状況につきましては平成八年以降二十二件を検挙いたしまして、本年はインターネットオークション利用による詐欺事件を検挙したところでございます。  それから、次はピッキングを使用した侵入窃盗事件でございますが、本県では平成十二年に初めて県内でピッキング使用の侵入窃盗事件が九件発生しております。昨年は十五件発生しておりますが、その後の発生は現在のところはございません。一方、ひったくりにつきましては十月末現在七十九件で、前年に比べまして六件増加している、その約八割が鹿児島市内で発生しているというような状況でございますので、県警本部と鹿児島市内三署合同でチームを組みまして未然防止と検挙に当たっているところでございます。  最後に交通の関係でございますが、今月二十二日から一月十日までの間、「年末・年始の交通事故防止運動」を強力に展開をしておりまして、その中で飲酒運転やスピード違反を重点として検挙しておりますし、交通事故防止のための広報活動を徹底しております。特に暴走族につきましては、この間活動が活発化しまして、大みそかにつきましては「初日の出暴走」と称しまして県外からも流入することが考えられますので、特に鹿児島市内あるいは県境主要道路におきまして大型検問を実施しまして徹底した検挙をします。 20 ◯農政部長(富岡忠勝君) 本県の中山間地域七十市町村における平成十二年の耕作放棄地率は七・七%、農業就業人口の高齢化率は五五%と高くなってきております。このため平成十年策定の「地域農業システム化推進構想」に基づき各般の事業を進めました結果、中山間地域では平成十四年三月末で集落営農組織等が二百二十五育成されております。また農作業受託も延べ一万二千ヘクタールで実施されますとともに、農用地面積の三二%の約二万二千ヘクタールが担い手に集積されております。今後四年間に県下四十地区で農作業受委託等を行うための支援を行うことにしております。  毎年農協を対象に負債が一件でもある農家について調査しておりますが、平成九年度は農家は七千七百四十六戸、一戸当たりの負債額は約九百七十六万円、平成十三年度では農家数は六千五百二十四戸、一戸当たりの負債額は約一千四百四十三万円となっており、農家数は減少していますものの、一戸当たりの負債額は増加しております。  返済が滞った理由は、技術不足、価格低迷、病気・離農などの順となっております。県におきましては、市町村・農協等と連携し適切な経営・技術指導に努めますとともに、経営維持や負担軽減のための資金等を活用し、負債農家の経営改善を支援しているところでございます。  化学農薬につきましては、発生予察情報に基づく的確な防除、天敵を利用した生物的防除などの推進により、平成十二年度の県内の農薬使用料は十アール当たり六・八キログラムとなり、昭和六十年度対比で六三%まで減少してきております。無農薬栽培は年々増加し二百五十四ヘクタールで取り組まれておりますが、除草作業や害虫の駆除などに手間がかかりますこと、生産物が必ずしも有利販売とならないことなどの課題がございます。県としましては、農業者に対する技術指導や消費者の理解促進を図りながら環境にやさしい農業の推進に努めているところでございます。  グリーン・ツーリズムにつきましては、平成十三年度から普及展開事業を実施し、「子ども農家民泊体験ツアー」、「田んぼゴルフ大会」などの都市住民を交えた実践活動を支援するなど、その普及定着を図っており、本年度は十二市町村において取り組んでおります。  なお、事業を十三年度に取り組んだ八市町村においては、農産物直売所や加工施設等二十四カ所の利用者が前年度に比べ一五%増加し二百十万人に達しております。このほか県内各地において、農産物直売・レストラン等を有する総合交流施設の増加や交流イベントが活発化するなど、消費者とのふれあいを通じた農村地域の活性化につながっているものと考えております。  新規就農相談所が開設されました平成四年度から十三年度までの就農相談者数は二千三百名で年々増加しており、このうち就農に結びついた者は約一四%の三百三十一名となっております。  就農に至らなかった者の主な理由は、家族内での同意が得られていないこと、就農に当たって準備資金や農業技術の習得が必要であることの認識が薄いことなどが考えられます。また、平成十三年六月時点で平成九年度から三年間に新規就農した七百七名について追跡調査いたしました結果、離農した者は約四%の三十名となっております。  離農した主な理由は、他産業から就農した者につきましては、農業の厳しさや農村社会に対する認識が甘かったこと、農家の子弟につきましては家族間の意見の食い違いや理解不足などとなっております。  岐阜県で開催されました全国和牛能力共進会につきまして、本県の出品牛は種牛の六つの区で農林水産大臣賞を受賞し、「鹿児島黒牛」が全国のトップレベルにあることが証明されました。これは、本県がこれまで優良雌牛の導入・保留と優良種雄牛の造成等に努めてきたことが評価されたものであると考えております。  子牛市場においては県外からの購買者も増加し、十一月の平均価格は三十九万九千円で、BSE発生前の価格を上回っております。なお、この好調な相場は全国的な子取り用雌牛の減少傾向や枝肉価格の回復傾向等に支えられまして、今後も堅調に推移するものではないかと考えております。  本年度の病害虫は春先の気温が平年よりやや高く推移いたしましたため早目に発生いたしましたが、その後の発生はほぼ平年並みとなりました。カメムシ類につきましては八月以降発生が急増し、果樹を中心に被害が見られました。これは暖冬で越冬成虫の生存率が高かったこと、えさとなりますヒノキや杉の球果が多かったことなどが原因と考えられます。このため病害虫防除所が注意報を出しまして、カメムシの早期発見と早期防除の徹底を図ったところでございます。  ジャンボタニシにつきましては、近年発生面積が増加傾向にあり、水田の二五%の約六千七百ヘクタールで生息が確認されております。なお、約五百七十ヘクタールで被害が発生しております。    [高橋 稔君登壇] 21 ◯高橋 稔君 まず市町村合併の問題でございますけれども、現在地方制度調査会や自民党国家戦略本部において道州制導入の検討がなされております。世界経済の中で日本が生き残っていくためには自己責任・自己決定の責任を持つ地方自治の確立を図っていかなければならないわけであります。そのために、当然道州制を踏まえた市町村合併を考えていくべきであると思っております。政令指定都市になるとそれぞれ権限を持っているので、県の指導監督の権限は及ばなくなってくるわけであります。  今回の市町村合併は、日本の国の将来を左右する重大な明治維新にも匹敵する大改革であります。私は鹿児島から日本を変える、全国に先がけて中核都市、パイロット自治体、そして十万都市と、三段階構想で国際化に対応できる鹿児島の体制の整備を図るべきだと思うのであります。  十年もすると、道州制を含む二次編成が進展するだろうと思っております。三十年後、五十年後の立派な南九州の創造を目指して、今多少批判はあっても勇気と英断を持って、なお一層取り組んでいただきますことを御期待し、お願い申し上げておきます。  消防団員の件でございますが、消防団員の苦労は私も十数年団員をいたした経験がありますので、よくわかっているつもりであります。入団者の確保が難しい中、地域住民の生命・財産を守るため地方公務員の協力が得られれば大変ありがたいことだと思っております。この件につきましては、ぜひよろしくお願い申し上げます。  カラモジアにつきましては、民間の草の根活動は大変難しい部分もあるわけでありますが、せっかく根づきかけた国際交流の火が消えないよう適切な指導を今後もお願いいたしておきます。  警察行政につきましては、時代が変われば新たな形態の犯罪が発生してまいります。景気が悪くなると、弱者につけ込んだ悪質な金融業者やハイテク関連業者が勝手にどんどん入り込んでくるようであります。それでなくても平和・安全・安心の中で暮らしてきた日本人は無防備でだまされやすいと言われております。今や国の内外において平和や常識が非常識者によって脅かされております。住民も自分の身は自分で守る基本原則を再認識し、非常識者にだまされない常識・知識・対処法をしっかり学ぶ必要もあるのではないかと思っております。そういう方面につきましても、被害に遭わない啓発をお願いいたしておきます。
     また少年非行が減少しているということは大変ありがたいことだと思っております。  交通事故防止につきましては、先月十日間の中で九人がなくなったと聞いております。年末年始を迎え大変御苦労いただくと思いますが、それぞれ健康に留意され交通事故防止に向けて御努力いただきたいと思います。  農政問題についてでございますが、本県の来年度分減反は四・一%増ということであります。農水省は今回米政策改革大綱の中で減反政策を二〇〇八年度まででやめ、農業者・農業団体の自主的生産調整に移すとしております。今後、水田農業は農家自身の知恵・工夫・協調性が求められてくるものと思われます。国は自給率四五%目標を掲げておりますが、国も地方も新たな認識のもと、さまざまな検討・改革を進めていかなければならないものと思っております。  日本の穀物自給率は百七十八カ国中百二十九番目、OECD加盟国三十カ国中二十八番目と言われ、自給率は低下の一途をたどっているような状況であります。  県産牛の評価が高まり価格が安定してきたことは喜ばしいことでありますが、「農業立県鹿児島」といたしましても、今後担い手対策や自由化対策、無農薬栽培などの本物志向への対策などさらに御検討いただくようお願い申し上げます。  次に、保健福祉行政についてお伺いいたします。  去る十一月一日の新聞記事を見て、本当だろうかと唖然といたしました。「高二の性経験三人に一人」という見出しであります。さらに、翌二日の記事であります。鹿児島県内の医療機関で昨年一年間に行われた未成年女性の人工妊娠中絶が六百五十四件に上り、未成年は十年間で約二倍に増加しているとのことであります。十五歳以上二十歳未満の女性は百人に一人が中絶した計算になるとしております。また第二回定例議会でも取り上げられておりますが、若い世代の性感染症がふえており、本年も増加傾向に歯どめがかからず、十月まで千二百七十六人と、昨年を既に上回っている状況であります。  このような若者の人工妊娠中絶や性感染症の状況をどのようにとらえておられるのか、またこの対策についてなお一層横の連携も必要と思われますが、考えをお伺いいたします。  二点目に、経済不況の中、企業倒産やリストラがふえ、そのことによる要因も含め自殺者がここ数年全国的にも三万人を超え、県内においても近年五百名を超える現状であります。昨年は五百十九人で、ことし上半期の自殺者は二百六十七名であり、過去最悪になることも不思議ではない状況にあり、極めて憂慮すべき事態であると思っております。この状況をどのようにとらえ、どう対処されようとしているのか。さらには、働き過ぎて死亡する過労死や死亡には至らないが後遺症があるケースの労災認定件数が全国的に昨年を上回るペースでふえているとのことであります。この現状をどうとらえ、どのように対応しようと考えておられるのか、その対策についてお伺いいたします。  三点目に、平成十四年十月一日から「身体障害者補助犬法」が施行されました。犬は昔から人間社会に溶け込んで生活しており、飼い主にとっては忠実な部下であったり心の友であるわけであります。犬は大変利口な動物であり、人間の飼い方次第では社会のために役に立ったり迷惑をかけたりするわけであります。特に介助犬のような特別に訓練された犬はまだ国内でも二十六頭しかいないそうで、盲導犬も八百九十五頭、聴導犬に至ってはわずか十九頭という状況であります。県内での要望状況はどうなのか、またこのような特殊犬の訓練事業者はどのような状況にあるのかお伺いいたします。  一方このような特別な犬なら人のため役に立つのでありますが、最近ペットを飼う人のマナーが悪くなってきているような感じがいたします。公園や家の周辺での放し飼いや散歩時のふんの始末などにマナーの悪さが見られるようであります。また、特に猫であります。猫の管理義務も飼い主にはあるわけでありますが、犬のような管理はされていないのが現状であり、交通事故死というのかわかりませんけれども、車に跳ねられ死亡しているのをよく見かけます。猫を好きな人はよいのでありますが、虐殺して動物愛護法違反で逮捕された人もいるぐらいであります。お互い人の迷惑にならないよう飼いたいものでありますが、猫・犬など飼い主の管理義務状況、また行政指導について現状をお伺いいたします。  次に、教育問題についてお伺いいたします。  少子化社会が進む中、国際化・情報化が進む中、教育をめぐる問題も複雑・多様化、多岐にわたっており、社会ぐるみで対応していかなければならない状況であります。過去には「金の卵」ともてはやされた学校就職も内定率四七%と最悪な状態、地方にあっては適正規模にも満たない高校が二十七校もある現状。財政厳しき中、校舎の建てかえ、新築も、整備もままならない状況と聞いており、まさに総力を挙げて全体でこれらの問題に取り組んでいかなければならないのではないかと思っております。  時間の関係もございますので、きょうは現場の部分について簡潔にお伺いいたします。  一点目に、本年度から完全週五日制が実施されたわけでありますが、家庭・学校・地域とのふれあい状況はどうか。また、これに伴う先生方の地域内居住や参加状況はどういう状況かお伺いいたします。  二点目に、子供たちを犯罪などから守るため「子ども一一〇番の家」が設けられておりますが、県内の設置状況と効率的な事例についてお伺いいたします。  三点目に、米飯給食についてお伺いいたします。日本人の主食は米であると私は思っておりますが、戦後「米を減らし、もっと牛乳や肉類など動物性たんぱく質を」と国の指導のもと、学校給食でもパンと牛乳を取り入れ、それに慣らされてきた嫌いもあります。パン食もふえており、瑞穂の国も寂しい感じがいたします。子供のうちにその食に慣れさせると、それがおふくろの味となって大人になっても、それを好む傾向にあると言われております。米飯は子供の体にもよい影響を与えるし、日本の将来にもかかわってくる大事な問題であると思っております。そこで、米飯給食の取り組みの状況についてお伺いいたします。 22 ◯保健福祉部長(中村健二君) 若者の人工妊娠中絶や性感染症が増加している背景には、誤った性知識や性的関心の高まりなどがあり、県としては思春期における健全な母性の育成とあわせて性感染症予防についての正しい理解が重要と考えております。このため、平成十四年二月に策定した「健やか親子かごしま21」に思春期の保健対策の強化と健康教育の推進を主要課題の一つとして位置づけ、思春期特有の心と性の問題や子供たちへの相談体制づくりに取り組むこととし、保健体育の授業に加え、保健所の医師・保健師が中・高校と連携を図りながら専門的な指導を行うほか、新たに教員用の「性教育の手引き」を作成し、より実態に即した効果的な指導に努めることとしております。今後とも教育委員会・医師会など関係団体と連携して健全な母性の育成や性感染症予防の普及啓発に努めてまいります。  県としては自殺は心の問題として防止できるものと考えており、平成十三年三月に策定した「健康かごしま21」の中で自殺者の減少に向けて数値目標を設定し、その方策として「こころの電話」相談事業、精神保健福祉センターや保健所での相談事業に取り組んでいるほか、平成十四年度の「心の健康づくり県民大会」において自殺予防等を内容とする特別講演を実施したところであります。  今後とも「死にたい」などと思ううつ状態の方に対する理解の促進や支援策の整備など、自殺者の減少に向けた取り組みを進めてまいります。  「身体障害者補助犬法」が平成十四年十月に施行され、これまでの盲導犬に加え新たに介助犬及び聴導犬が身体障害者補助犬として位置づけられました。本県においては盲導犬を昭和六十三年度からこれまでに二十五頭給付し、現在までのところ要望を満たしております。また、新たな介助犬及び聴導犬の給付については、事業の実施に向けた国の動向などを見守りながら適切に対応してまいります。  補助犬の訓練事業者は、全国で盲導犬が九団体、介助犬が十六団体、聴導犬が七団体あり、うち県内では聴導犬の訓練事業者が一団体ございます。「動物の愛護及び管理に関する法律」においては、所有者の責務として動物を適正に飼養・保管し、人の生命や財産に害を与えたり迷惑を及ぼさないように努めることとなっております。また、県の条例においては犬のけい留を義務づけております。  県としては、保健所において飼い主に対して適正に飼養するようあらゆる機会を通じて指導するとともに、放し飼いの犬の捕獲、飼えなくなった犬や猫の引き取りのほか、毎年九月の動物愛護週間における図画コンクールの実施などによる啓発を行っております。今後とも市町村・獣医師会など関係機関と連携し、飼い主のマナーが向上するよう指導に努めてまいります。 23 ◯商工観光労働部長(岡積常治君) 過重労働による脳・心臓疾患を起因とする死亡などの労災認定件数は、全国で本年度上半期百十五件となっており、昨年度一年間の百四十三件に迫っていることから憂慮すべきことと考えております。このような中、国においては本年二月に「過重労働による健康障害防止のための総合対策」を策定し、事業者が講ずべき措置の周知徹底を図っているところであります。また、「鹿児島産業保健推進センター」等において専門医等による自殺の予防など、あらゆる産業保健関係の相談に応じているところであります。  県といたしましては、鹿児島労働局と連携してこれらセンターの活用促進を図りますとともに、週休二日制や時間外労働の削減等の普及啓発を図り、労働者の健康の保持増進に努めてまいりたいと考えております。 24 ◯教育長(福元 紘君) 完全学校週五日制を契機に、各地域では子供たちに豊かな体験活動を提供するため、伝統芸能の継承活動、ふるさと学寮、福祉施設訪問や美化活動などのボランティア体験、田植えから収穫までの農業体験など、さまざまな取り組みがなされております。これらの取り組みを通しまして子供たちが高齢者を初めとして地域の人々とふれあう機会が多くなり、これまで以上に世代間の交流が活発になってきております。  小・中学校教職員の校区内居住者の割合は約三〇%、同一市町村内居住者の割合は約六〇%となっておりますが、五日制の取り組みに教職員も参加し、中には積極的に企画・運営に携わっている例もございます。県教委としましては、これまでも可能な限り校区内に居住するよう指導しますとともに、やむを得ず居住できない場合であってもPTA活動や校区内の行事等に積極的に参加するなど、地域と一体となった教育活動に取り組み、保護者や地域の期待にこたえるよう指導しているところでございます。  米飯給食は、児童生徒に日本の伝統的な食文化の根幹でございます米を中心とする日本型食生活に関心を持たせるとともに、地元の特産物や食文化を体験させることにより郷土への理解や関心を深めさせるよい機会であるととらえております。さらに、子供たちに人気の高いカレーライスや鶏飯など多彩な米飯メニューを通しまして楽しく給食をする中で、心身の健康をはぐくむことなどのよさがあることから大切であると考えております。  現在米飯給食を週五回実施しているところが六町村、三十九校、週四回が五市町村、三十二校、週三・五回が二市町、十七校、週三回が八十市町村、七百三十六校でございます。また、週三回未満の二市一町のうち一町が来年四月から週三回実施する予定であり、実施主体である市町村の米飯給食に対する理解が進んできております。 25 ◯警察本部長(久保潤二君) 「子ども一一〇番の家」は、現在までに三千五百四十五カ所の個人宅・商店に委嘱して設置しております。現在までの活用事例といたしましては、見知らぬ男に声をかけられたり、わいせつ男に遭遇した女児が「子ども一一〇番の家」に駆け込んで被害を免れたり、検挙につながった事例がございます。    [高橋 稔君登壇] 26 ◯高橋 稔君 保健福祉行政についてでございます。  若者の人工妊娠中絶や性感染症がこのような数字で出てくるというのは、やはり重大なことと受けとめております。情報社会の行き過ぎた面やモラルの低下、社会的影響など多くの問題を抱えているわけで、その原因、もとをたださなければならないところもあり、また国レベルでもしっかりと考えていただきたい部分もあるわけでありますが、今のこの現状を踏まえ、当局としても最大限の対策を講じていただくようお願いいたしておきます。  介助犬等につきましては、ノーマライゼーションの確立という点からも、今後の課題ということで御検討いただきたいと思います。  ペットの件でございますが、マナーのよい人は本当にきちんと守っておられるわけでありまして、猫にも首輪をつけて散歩されております。いま一度、猫を含めたペットを飼うマナーについて啓発をお願いいたしておきます。  教育問題につきましては、完全週五日制は学力低下や塾傾向、学校の偏りなどいろいろな不安材料はあったわけでありますが、本当に子供たちの心がどう育っていくのかという点であります。完全週五日制はまだスタートしたばかりでありますが、のびのびと豊かな心を持つ子供が育つことを期待したいと思います。  「子ども一一〇番の家」は、地域全体が子供を守り育てるという点で考えると、すばらしい取り組みではないかと思っております。さらに充実していくことを期待いたします。  米飯給食でございますけれども、米は瑞穂の国から日本人の心であり、命をはぐくむ宝であり、日本の文化・歴史であります。その日本の歴史をしっかりとまた子供たちに伝えていただきたいと思っております。どうぞ、さらなる取り組みをお願いいたしておきます。  以上、多岐にわたって質問を申し上げました。今や時代が移り変わるとき、地方も大変なときを迎えております。県政も多くの課題を抱えておりますが、しっかりと先を見据えて頑張っていただきたいと思っております。  私どももまたそれぞれの思いで新しい年を迎えようといたしております。それぞれ道は違っても県民の幸せを願う気持ちは同じであります。来年は須賀県政とお互いにとってすばらしいよい年でありますよう祈念申し上げ、私の質問を終わります。(拍手) 27 ◯議長(溝口宏二君) ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十一分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 28 ◯議長(溝口宏二君) 再開いたします。  尾辻義君に発言を許可いたします。    [尾辻 義君登壇](拍手) 29 ◯尾辻 義君 高円宮殿下の突然の御逝去を悼み、心から哀悼の意をささげます。  殿下はことし日本で開催されたサッカーワールドカップにおいて、日本サッカー協会の名誉総裁として御尽力されました。そのときのはつらつとしたお姿は、まだ私たちの心にしっかりと焼きついております。  殿下はスポーツ振興の意義を認め、そのお力を注いでくださいました。殿下が生前言われたお言葉に印象深いものがありました。「試合に出て勝ったときはうれしいし、大きな感動を与えてくれる。負けたときは負けたときで確かに悔しいけれど、将来きっといい思い出として残ります。だからスポーツはすばらしい」と言われました。  私たちスポーツを愛し、力を注いでいる人間に、自信と勇気を与え続けてくださいました。殿下には今後国際社会におけるますますの御活躍と、スポーツ振興への一層のお力添えが期待されておりましただけに、まことに残念のきわみであります。  そこで、スポーツ振興についてお尋ねいたします。  私は初めて県議会に送っていただいた昭和六十二年に、体育施設の整備拡充について三つの一般質問をいたしております。  それは県体育館と屋内水泳プールの貧弱さを指摘し、さらには石川島播磨重工業の保有する未利用地を買い戻し、すべての競技場が収容できるような一大拠点をつくったらどうかと質問をいたしました。  それから十六年、質問に立つたびに他の県のすばらしい施設の例を挙げ、現在の県体育館においては国際試合、それどころか九州大会さえも鹿児島で開催できないということを訴え続けてまいりました。そのときから現在まで一歩も前進していないのです。前進しないどころか、年数が重なり県体育館は建設されてから四十二年間が経過しております。  この現実をどう受けとめておられるのか、知事のお考えを率直にお聞かせください。  また、本県の過去の基本計画をひもといてみますと、昭和六十年六月の分にはこう書かれております。「国際大会・全国大会等各種の多様な競技大会が効率的に開催できるフロアーや運動能力・体力測定室等を備え、調査・研究、研修及び情報の収集・提供などの機能を有する総合体育館を新たに建設する」と、こう書かれているのです。  これがどう進んでいったかと調べてみますと、平成二年六月の基本計画では次のように書かれているのです。「県総合体育センター等との関係を考慮しつつ、国際的なスポーツイベントの開催が可能な新総合体育館、サッカー等の球技スポーツを専門的に行える競技施設、マリーナ等の海洋スポーツ施設など中核的スポーツ施設の計画的な整備を促進します」と、こう述べてあるのです。  こうして一歩も進まないまま平成十三年一月の基本計画は「身近なスポーツ施設等の整備・充実を促進するとともに、スポーツ中核施設の整備を図ります」と、たった二行になってしまっております。具体的なことがすべてカットされています。かなりトーンダウンしていることはだれが読んでもわかります。  スポーツ施設だけがどうして置いていかれるのでしょうか。優先順位が間違っているのではと思うのは私だけなのでしょうか。日本全体財政が苦しい時代です。それはわかっています。それにしても今まで四十年近くいろいろな箱物と言われる諸施設が次から次へとでき上がっているのに、なぜスポーツ施設だけは後回し、後回しになったのでしょうか。  答弁までも覚えてしまうほど、同じ質問、答弁で十六年間が過ぎてしまっているのです。この現実をどう解釈すればよいのでしょうか。知事の正直なお気持ちをお聞かせください。  体育館も調査費がついてもすぐに消えてしまうし、球技場もつくると答弁をいただいていたのに、財政改革という大義名分のもとに凍結される。なぜスポーツ施設だけがこうなるのかどう考えても納得いかないのです。惨めになるのは私だけなのでしょうか。絵にかいたもちどころか、絵さえ描けない状態になってしまっているのです。どうしてこうなってしまうのでしょうか、教えてください。  本年度、新体操競技を含めて、体操関係の国体ブロック予選が鹿児島県で開催されました。  審判会議、監督会議が県体育館の隣にある研修室でできなくて鴨池公民館で行わざるを得ませんでした。鴨池公民館までは十分も歩いて行かなくてはなりません。研修センターは合宿をするためにつくられたもので、一階に炊事場までありますが、それは今は使われていないため物置になっています。  二階の畳の部屋で県内の試合の監督会議や審判会議は行うのですが、ダニがいて、監督、審判の足にはダニのかんだ跡が残ってしまうのです。書類を入れた封筒にはゴキブリの死骸が入ったり、あまりの汚さに土足のまま上がる人までいる始末です。体育館は跳馬の助走距離が足りなくなって、舞台を削ってぎりぎり足りているのが現状です。  一度体操競技の試合をぜひ見に来てください。一ミリの余裕もなく息苦しく感じるぐらいの窮屈さです。器械体操はけがを伴う危険な競技です。あれではいつけがが起こってもおかしくないと私は思うのです。ぜひ見ていただき、どんな状態かわかっていただきたいと思います。  来年度は鹿児島で九州高校総合体育大会が開催されます。監督会議の会場として鴨池公民館を使用したとき、県体育館で練習している生徒に事故などが発生した場合、対応がおくれてしまいます。これは重大な問題です。ぜひ知事、体育館、研修センターを見に行ってください。そして鹿児島の関係者の方々はどんなに惨めな思いをして九州大会を開催しているかを御自分の目で、肌で感じてください。  どんな施設であろうと八年に一度は九州大会が順番として回ってきます。しかしながら、このような施設では全国大会などは絶対に誘致できないのです。子供たちに一流の選手の演技を鹿児島で見せてやれないのです。このことを知事、教育長はどう考えられるかお聞かせください。  スポーツは私たちに大きな大きな感動と勇気、未来に対する夢を与えてくれます。そして人と人とのきずなを深め、よりよい社会をつくるための源ではないかと私は考えます。ぜひぜひそのことを心にとめて、温かい答弁をお願いいたします。  私はつい先日、市内にある影原保育園の作品展を見学させていただきました。そのとき、幼児期における情操教育の大切さと同時に、幼児期の子供たちの持つ能力、感受性のすばらしさを改めて実感させられました。  この保育園の園児は専任の絵の先生の指導を受けております。今回のテーマはおとぎ話で、三歳児から五歳児までの幼児の描いた絵やいろいろな作品が展示してありました。私が最も感激したのは、三歳児より四歳児、四歳児より五歳児とはっきりとその違いがわかることでした。  成長とともにうまく、明るく、大胆に、伸びやかに絵が上手になっていくのです。指導を受けているのですから技術的上達は当たり前でしょうが、内面的なものに深まりが感じられます。三歳のときには黒い色使いだった幾人かの絵が五歳になると全員といっていいほど明るくきれいな色を使い、夢のある希望に満ちたすばらしいと言えるほどの強いタッチの絵になっているのです。  このような絵が描けるようになる背景には、園児の持っている個性を尊重しながら上手に指導してくださる専任の先生、そして園児たちの生活の場となり、長時間のかかわりを持っておられる保育園の先生方の慈愛に満ちた温かさがあるからこそだと思います。  そこで、今回も保育問題について質問させていただきます。  日本の子供の数が減り続けています。現状ではふえる兆しは全く見られません。このままでは日本の百年後の人口は半分以下になると言われています。また、西暦三五〇〇年には日本人は一人になるのではないかという極論さえ出ています。人口の減少は日本という国体の存亡にかかわる大問題なのです。  このように、ただでさえ子供の数が少ないというのに、せっかく産んだ我が子を虐待で殺してしまう事件も増加してきております。こんなことではますます子供の数は減ってしまいます。  この秋には、二歳の子供が虐待で死亡するという事件が鹿児島市で起こりました。加害者は母親が同居させていた男性で、母親は仕事で家にいなかったそうです。オートロックマンションの密室の中で起こった事件でした。現状では地域の連帯や監視、ましてや地域の手助けなど期待できるものではありません。離婚やシングルマザーなど家庭のあり方も変貌ぶりを示しています。地域の無干渉主義、子供たちへの教育力もこのように変化してきた現在だからこそ、子供たちを預かってくださる保育所が必要なのだと思うのです。  昨年の質問の中でも申しましたが、人生の中で一番大切な子供たちの成長に、全身全霊を傾けておられるのが保育所なのです。少子・高齢化時代はさらに進行中です。幼児虐待の奥に透けて見える家庭の乱れ、地域社会の教育力の低下、かかわり合うことの面倒さといった味気ない人間関係の希薄さがあるようです。だからますます保育所の役割が重要になっていると心から訴えたいのです。  子供は家庭の宝、地域の宝、市や県の宝、日本国の宝なのであります。資源のない日本にとって人づくりこそ財産であり、国づくりの基本にあると思うのです。  そこで、質問いたします。  内閣府の地方分権改革推進会議が十月三十日に、最終報告を小泉総理大臣に提出しました。それによりますと、幼保一元化、保育所調理室必置規制の撤廃、保育所国庫負担金などの国による補助負担金の一般財源化など、これらが検討されるべきだとの意見が載せられているのです。  子供たちも一人の人間として、喜びとし、楽しみにしているのが食事の時間です。これなのに保育所から調理室をなくしてよいのでしょうか。つくってくれた人との心を通わせることができるのが給食です。一番の最高の発育途上にある子供たちの栄養バランスが考えられているのです。  仕事に出かける母親が多い今、ついつい既製品で済ませてしまうことも多いのです。こんな時代だからこそ調理室は保育所に一番必要な場所だと思うのは私だけでしょうか。知事、部長の率直なお考えをぜひお聞かせください。あわせて幼保一元化や国による補助負担金の一般財源化についても当局のお考えをお聞かせください。  また、さかのぼって七月二十三日に総合規制改革会議が発表した中間とりまとめの中では、十四年度中に検討、結論を出す項目として、福祉、教育などの分野においては負担補助では利用の実態に応じた補助は行いにくく、また、利用者が運営主体を選択することにより醸成される競争がもたらす効率化や利用者便益への配慮という効果も期待しにくい。このような問題を解決するためにも、海外事例などを勘案しつつ、例えば機関補助から利用者補助へのシフトによる利用者選択の拡大を検討すべきであると提言しているのです。これは大変なことだと思うのは私だけでしょうか。  認可保育所は乳幼児の最善の利益、すなわち体力的、精神的、協調的、そして知的な発育を守るために日々研さん、努力しておられます。自分たちに課せられた乳幼児の健全育成というテーマに、日々十一時間を超える保育をしながら研修と研究、自己研さんを積んでおられるのです。それは無意味な経済的競争あるいは園児獲得の競争ではなく、保育の本当の主役であるべき子供たちの生き生きとした成長に資するためには、何が必要であるかを考え抜いた末での結論だと訴えておられます。  自分たちの利益だけを最優先とする考え、経営では、子供たちの笑顔の絶えない健全な育成は期待できないのです。  社会環境は複雑化し、低成長の中でゆとりの気持ちを失いそうな現在だからこそ、営利などとは無関係に純粋に無垢な子供の心と向き合い、親に無条件におもねることなく、対等な立場で、あるいは時には親の気持ちになって、一緒に子育てに責務を感じることが求められているのではないでしょうか。しっかりとした保育感を持って子育てに使命感を持つ保育所が一般となることが求められているのです。そのためには利潤のみの追求には終始できない今の日本の保育制度、世界に誇れる日本の認可保育所制度はどうしても残していくべきだと思うのです。  このことについて知事、部長はどう考えておられるのか、今後どのように対処していかれるおつもりかお聞かせください。  最後に、もう一点お尋ねいたします。  昨年、突然十四年度から公立保育所の市町村保育連合会の施設負担金を一割カットしますとの通達があったそうです。あわせて、児童クラブなどを運営している法人に対しても、評議員会を設置するようにとの通達も行われたそうです。  乳幼児や子供たちの健全育成を目指して懸命に頑張っておられる施設や団体に対して法外な通達と言わざるを得ません。そういう通達に対して、他の県からひんしゅくを買っているのだそうです。  県としてはそのことをどうとらえておられるのか、それほどの重大事ととらえておられるのでしょうか。お聞かせください。そして今後どのように対処されるおつもりかお聞かせください。    [知事須賀龍郎君登壇] 30 ◯知事(須賀龍郎君) 本県の活力ある社会や県民の健やかな生活を実現するためには、スポーツ・レクリエーションの振興は極めて大事なことであると私は認識いたしております。  また、スポーツ施設、体育施設の整備につきましての尾辻議員のこれまでの御熱意は私も十分理解はいたしております。  これまで体育施設の整備につきましては、体操競技に必要なピットの設備、それからホッケーの人工芝の整備、鴨池陸上競技場のフィールド・トラックの改修や補助競技場のグラウンドやスタンドの改修、県立鴨池野球場にピッチングとバッティングができる練習場や、県ライフル射撃場の室内化、山岳競技用のクライミングウォール等の整備を行ってきたところであります。  さらに今年度は、県立鴨池テニスコートの人工芝への改修やコートの増設を行いますとともに、また奄美の住用村には相撲場を備えた奄美体験交流館(仮称)を整備するなど順次その整備を進めてきているところであります。  なおまた、スポーツ中核施設の一つであります多目的球技施設の凍結につきましては、鹿児島市の用地取得や敷地造成の状況、サッカー等の観客数の動向、並びに本県の厳しい財政状況などを十分考慮していく必要があると考えております。また、これまでの経過につきましては、その都度県議会にも申し上げてきているところであります。  今後とも県民の健康やスポーツに対しますさまざまな要望もお伺いしながら、厳しい財政環境の中ではありますが、適切に対応してまいりたいと考えております。
    31 ◯教育長(福元 紘君) 子供たちが一流選手のプレーを間近で見ることは、将来への夢を持たせ、やる気を起こさせる絶好の機会であると考えております。  県立の施設では陸上競技場でのJリーグを初め、野球場でのプロ野球、体育館でのバスケットボール等々が行われております。また、市町村の施設におきましても、全日本社会人卓球選手権大会や世界室内自転車競技選手権日本大会などが開催されております。  さらに今年度は、県下十九市町、四十一の施設で、国体九州ブロック大会が開催され、九州トップレベルの競技が行われたところでございます。  今後とも県や市町村の体育施設で全国レベルの大会等が開催されるよう各競技団体等と連携を図ってまいりたいと考えております。 32 ◯保健福祉部長(中村健二君) 保育所の調理室の必置規制につきましては、地方分権改革推進会議から、「国による調理室設置の義務づけが、地方の判断による機動的な保育所の設置や運営を妨げているとすれば、義務づけを廃止する方向で検討を求める」旨の意見が出されたところであります。  県としては、子供の食については、安全・衛生面や食事を通じて子供の健やかな育成を図る観点から、きめ細やかな対応が重要であり、基本的には調理室は必要であると考えておりますが、今後国において引き続き検討がなされると聞いており、その推移を注視してまいりたいと考えております。  地方分権改革推進会議から施設としての幼稚園と保育所、制度としての幼稚園教育と保育は、それぞれの地域の判断で一元化できるような方向で検討を進めるべきことや、保育所の設置・運営を全面的に地方の判断にゆだねるべきとの合意が形成されるのであれば、保育所運営費負担金等の一般財源化なども検討されるべきとの意見が出されたところであります。  現在、保育所と幼稚園は機能を異にすることから、それぞれの制度の中で整備充実が図られているところでありますが、これらの問題については、今後国においてさまざまな観点から検討がなされるものと聞いており、県としてはその検討状況について注意深く見守ってまいりたいと考えております。  総合規制改革会議から保育所の利用者が運営主体を選択することにより醸成される競争がもたらす効率化などのために、現行の機関補助から利用者補助制度へ移行することにより、利用者選択の拡大を検討すべきとの中間報告が出されたところであります。  これに対し厚生労働省としては、既に利用者が保育所を選択できる制度が導入されていることや、市町村の関与が薄まり、真に必要とするものが保育サービスを受けられなくなる可能性があるなどの問題も生じるため、現行システムを直ちに変更する必要はないと考えていると聞いております。  県としては、今後国の動向を注意深く見守るとともに、適切な保育水準の確保が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  県市町村法令外負担金等規制審議会は、市町村の財政状況が非常に厳しいことから、平成十四年度から県保育連合会に対する市町村からの法令外負担金を他の団体と同様に、人件費と上部団体への負担金充当分を除き一〇%削減する旨を県保育連合会に通知し、理解を求めたものであると聞いております。  なお、法令外負担金の問題につきましては、市町村みずからの判断で行われるものと考えております。  国が平成十二年十二月に定めた「社会福祉法人審査基準」におきまして、社会福祉法人は広く関係者の意見を聞き、民主的で適正な運営を図るため評議員会を設置することとされ、県としては平成十三年一月十五日付で、その旨県所管の社会福祉法人に対し通知したところであります。  なお、保育所は評議員会の設置は任意とされておりますが、一定規模の放課後児童クラブ等をあわせて運営する場合には審査基準に基づき評議員会の設置が必要であるとの国の見解を得ております。  県としては、民主的で適正な運営を図るための評議員会の設置について、関係法人の理解が得られるよう指導してまいりたいと考えております。    [尾辻 義君登壇] 33 ◯尾辻 義君 御答弁ありがとうございました。  知事の答弁を聞いておりまして、私もそれはよくわかっておりますし、感謝は申し上げております。でも、スポーツ関係の施設はいつもこそくり工事でとまってしまうのであります。本物がいつまでたっても見えてこないのです。  平成六年の第一回定例会の私の一般質問に答えて、土屋佳照知事は、「私の気持ちの上ではもう熟しておるわけでございます」との温かいお言葉をいただきました。  その折、私は感謝感激をいたしましたのに、八年以上たった今何もでき上がっていないというのは無念でなりません。柿も食べごろがありますが、余りに熟しすぎて落ちてしまい食べられなくなったのでは、とも考えますが、その形跡もありません。  スポーツは遊びではありません。私たち県民に多くの感動と勇気、希望を与えてくれるすばらしいものです。こんな時代だからこそ、子供たちに感動の場を与えてやりたいと強く念じております。ぜひ一日も早い実現を期待しております。  保育問題ですが、市町村のことだからと、国からの強い要請だからと突っぱねるのではなく、もう少し通達を受けた立場に立って、子供たちのために何が一番大切か、今急いで何をするべきか、保育問題にはもっともっと心のこもった温かい対応をしていただくように強く強くお願いし、次の質問に入ります。  世界保健機構(WHO)が十月三十日、二〇〇二年度版の年次報告を発表しました。  発表によりますと、二〇〇一年の日本人の平均寿命は八十一・四歳で、前回に続き世界一となっております。しかし、日本はいつまで世界一の長寿国という栄誉を維持できるでしょうか。もうこの辺がピークなのではないかと不安に駆られているのは私だけではないはずです。  「平均寿命日本トップを守る」という記事が出ていた翌日の新聞には、「熱加工食品に発がん物質」という見出しも大きく見えておりました。これは厚生労働省が薬事・食品衛生審議会の毒性部会に提出された検査結果です。  高温で加熱調理した加工食品から次々とアクリルアミドという物質が検出されたというのです。このアクリルアミドというのは、前から発がん性が指摘されていた物質で、特にポテトチップスやフライドポテトから比較的高濃度で検出されるという代物です。  スナック菓子類を初め子供たちの大好きな炭酸飲料やインスタント食品などの多量の摂取は、その成長に悪いということは前々から指摘されてきたことであります。それは肥満の原因となり、大事な成長期の骨の発達を妨げる。塩分のとりすぎが生活習慣病予備軍になると言われ続けてきたわけで、十分な根拠だと思われます。  昨今の子供たちがキレやすくなったのはなぜか。体ばかりでなく精神面に及ぼす長年にわたる食生活の乱れが大きな影響を持っていることが指摘されていることは御承知のとおりです。  非行に走る子供たちの食生活も研究され、結果も出されようとしています。食事を家族と一緒に食べない、三食を決まった時間にきちんととらない、スナック菓子や炭酸飲料、インスタント食品でいつもいつも済ませてしまうなど、異常といえる食生活が子供たちの心身に与える影響、そのことが大きくクローズアップされてきているわけです。食生活、これは生きる力の基本となるものです。言うまでもなく、子供たちにとって一番大切な滋養、養分、生きる力の源なのです。  教育の基本にあるものとして知・徳・体という言葉があります。私は九月二日から四日まで静岡県大仁研究農場で、美と土と心の旅に参加させていただきました。  その中で、食と人づくりという演題で講演された水戸昇先生は、食育、体育、徳育、知育へと並びかえるべきだと言われたのです。鹿児島の知事、教育長はどの順に並べられるでしょうか、まずお尋ねいたします。  水戸先生は、子供たちによりよい食生活の習慣を持たせ、その食生活によって心身ともにたくましい子供たちを育てることが、一番大切にされなければならないと力説しておられました。加工食品、冷凍食品、即席食品、炭酸飲料、スナック菓子に支えられた食生活がキレル子供たちを育てているとも極論され、同時に子供に食事を与えない母親が年々ふえ続けているとも言われるのです。  一昨年、同じこの研修会に参加したとき、バスの中で、「この田方郡大仁町は来年から給食はなくなるのですよ、なぜだかわかりますか」と言われるのです。私は、「いいことですね、母親の愛情の込もったお弁当をということなのでしょう」と答えました。その方は悲しそうに、「だといいのですが、自分のおしゃれにはお金をかけるけど、給食費は払わなくなる母親がふえ過ぎてどうにもならないところにまで来てしまったからです」と、言われれるのです。私は大変なショックを受けて言葉が出ませんでした。  そんなことがあっていいのだろうかという気持ちになりました。この話をお聞きになり、教育長はどう思われたか。ここまで来てしまった原因はどこにあると考えられるか、本県の現状と比べながらお聞かせ下さい。  ここ数年、食品に関しては安全神話が崩れてしまう事件が多発してきております。BSEの発生、雪印・日本ハムの偽装、コンビニ弁当などから怖い添加物など、挙げれば切りがありません。  食品会社だけではなく、生産者も悪い農薬を使って見た目だけのきれいなもの。また、何年間も腐れないような防腐剤の使われた食品。中国から輸入されたマツタケなどなど、油断もすきもない恐ろしい世の中になってしまったのです。それでも人づくり、国づくりのもとは食と農にある、食物と農業にあると言って、一生懸命めげずに地道に活動しておられる団体があるのです。  その一つとして、「世界永続農業協会」があります。協会の方々はボランティアで二十一世紀を担う子供たちのために日々頑張っておられます。人間の心身の健康を願いながら、大地に向き合われる姿には感謝を超えて崇高さすら覚えます。現在は変革の時代と言われます。だからこそどんな変革にも耐えられる生きる力の育成が重視されるのだと思います。  そこで、教育長にお尋ねいたします。  鹿児島県は子供たちの生きる力の育成のためにどのような具体的施策をおとりでしょうか。そしてそれはどのような実績を上げているのか、さらなる発展、向上を目指されるおつもりかお聞かせください。  生きる力を持たせるには、子供たちに将来に向けた希望と大きな大きな夢を持たせることが何より大事だと考えられます。発達途上にある子供たちの心身の健全さを育てるのは食育だと思います。皆さん、いかがでしょうか。  食育の大切さをるる述べてまいりました。生活の基礎にあるもの、未来に向けてたくましく飛躍する子供たちにとって一番の基底にあるものと考えます。知事、教育長は食育の大切さをどのようにとらえておられるのでしょか。今後教育の現場でどのような位置づけをされ、子供たちに植えつけていかれるおつもりかお聞かせください。  先日テレビを見ておりましたら、またまたここまでなってしまったかとショックを通り越して気分の悪くなる思いがいたしました。それは、成人した大人を「育て直し」という名分を立て、ある大学の教授御夫婦が自分の家に預かり、おむつをさせ、抱っこしてミルクを飲ませるところから初め、離乳食へという段階を取りながら育て直していかれる番組でした。大の成人した大人をですよ。  また別の番組では、こんな放映もしておりました。保育所に来る子供たちの多くが、笑いもしない、泣きもしない、甘えもしないというのです。その保育所では一人一人の保母さんがお母さんとなり、しっかり抱っこしてやることから始めるのだそうです。お母さん、お父さんと言わすことを覚えさせ、甘えることを覚えさせるのです。そうするうちに自分のお母さん役の保母さんの後追いをして幼子としての感情を出してくれるようになったというのです。  こうしてやっと人間らしい精神が形づくられていくのです。母親がいらいらして不安定な精神状態のもとで育てると、子供たちはまともに成長していかないのだと訴えておられるのです。この二つの実例をどう考えたらいいのでしょうか、教えてください。  鹿児島には郷中教育というすばらしいものがありました。教育改革の発信地は鹿児島だといっても過言ではない教育立県だったはずですが、今はどうなったのでしょうか。九州大学の退学者は鹿児島県も大変多いと耳にしますし、公立高校の中途退学者は九百六十二人と教育立県鹿児島とはとても言えない惨状です。悲しい現実だとしか言いようがありません。この現実を教育長はどうとらえ、どう対処していかれるおつもりかお聞かせください。  教育基本法の見直しを検討してきた中央教育審議会が、十一月十四日に遠山敦子文部科学大臣にその中間報告を提出いたしました。  それによりますと、教育の基本理念として、国を愛する心、道徳心などを盛り込むこと、教育に果たす家庭・保護者の役割、責任を明記するなど、同法の全面改正を求めるものとなっています。  報告の中で、現行法では重要な教育の理念や原則が不十分と指摘、新たな基本理念として、一、日本人としてのアイデンティティー(伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心)や国際性(国際社会の一員としての意識)。二、社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心など七項目を提示、どれを定めるかは国民の意見を踏まえた上で検討したいとしているのです。  また、教育の使命感と責務、学校、家庭、地域社会の三者の連携・協力に関しても新たな規定や提言を踏まえた内容となっています。  この教育基本法の戦後初の全面改正提言をどうとらえておられるのか、そして長年の間、当たり前のこととして考えられていた家庭の教育責任に対してまで明記しなければならないという状況をどう考えておられるのでしょうか、お聞かせください。  この中間報告を読んで、既にこの内容を実践している学校を視察していたことを思い出しました。子供たち一人一人の心にともしびをともしていこうということを地域社会と一体となって実践している名瀬市立伊津部小学校です。この学校の校訓がまず振るっているのです。「やるならやるでしゃんとやれ」です。この校訓を聞いただけでもユニークですばらしい学校に違いないと思ったのは私だけではなかったと思います。  どんな学校経営がなされているかといいますと、かかわり合う力を培う教育活動の推進が中心に置かれているのです。かかわり合うとは、子供たちが人やものと対話していくことだそうです。子供たちが意欲を持ってみずからの役割を自覚して行動する、かかわり合う多くの人々やものとの交流を深めながら精いっぱい取り組めば、結果として自分のことを素直に評価できるようになる。自分の考えをしっかりと持てるようになる。自分の願い、目的が何であるかをしっかりとつかむようになる。そこで初めて人を認め思いやることができるようになる。かかわり合うとはそういうことなのではないかと思うのです。  子供たちが人間としての本来の生きている姿に気づくことがどれほどすばらしいことか、ここで改めて一人一人の子供たちの心にともしびをともしていこうということの大切さを思うのです。  そのために伊津部小学校はどのような実践活動をしているかと言いますと、これがまたユニークで、「地域丸ごと」の教育活動というのです。「地域丸ごと」教育には二つの柱があります。校内教育センター、もう一つは校外教育センターです。その字のとおり、校内と校外でかかわるすべてです。  そして「地域まるごと」教育の教材として、人材、物材、場所材、情報材というものがあり、それらを大切な教材として生かしておられるのです。これらの教材を総動員させて、地域に生きる学校として、学校、家庭、地域社会が三位一体となった充実した、生き生きとした教育がなされているのです。  伊津部小学校で忘れてならないのが「さざなみバンド」です。上級生が下級生に島唄のリズムや島の踊り、演奏の仕方などを伝授し、躍動感あふれる「奄美の鼓動」を継承し続けています。この「さざなみバンド」こそ「地域丸ごと」教育活動を具現化したものと言えると思います。伊津部小の子供たちは、学校と家庭、地域社会の「地域丸ごと」教育に支えられているのですから、目が輝いているのも当然と思えるのです。小規模校だからと言えばそれまでですが、その生きた目の輝きが忘れられません。  鹿児島県はすばらしい歴史、伝統、文化、自然、人材に豊かに恵まれているのです。伊津部小のようにこれらを生かし、何とか実践したいものです。今後このような教育のあり方を具体的構想としてお持ちでしょうか。現状としての伊津部小の活動の評価とともにお聞かせください。  最後に知事にお尋ねいたします。  教育は継続こそが力であります。嘆きだけではなくて現状を考えると、一日も一時間ももう待てないところまできていると思います。本県の青少年が夢と希望を持って目を輝かして、生き生きと生活するために何ができるのでしょうか。心身ともにたくましい大人へ成長していくために、どのような長期的施策とビジョンをお持ちか、その熱い思いをぜひお聞かせ下さい。    [知事須賀龍郎君登壇] 34 ◯知事(須賀龍郎君) 二十一世紀の鹿児島を担う人材育成は県政の重要な課題であります。  したがいまして、「二十一世紀新かごしま総合計画」の中におきましても、県政の展開方策の重要な柱として、「新たな時代を担う多彩な人材の育成」を位置づけております。  また、本県の特色であります豊かな自然、教育的な伝統や歴史、地域の文化や産業、人材等の教育的資源を生かした教育を積極的に展開することとしております。  私は子供たちが多様な体験活動や地域活動等を通じまして、「うそをつくな」、「弱い者をいじめるな」など基本的な倫理観やマナーをしっかりと身につけ、人に対します思いやりの心や困難に打ち勝つ真の強さを備えた心豊かでたくましい児童生徒に育ってほしいと考えております。  さらに、こうした子供たちを育成するためには、学校、家庭、地域社会が、それぞれの自信と誇りを持って役割を果たしますとともに、連携しながら地域ぐるみの子育てに取り組み、古いものや大切なことを伝えていく中で、健全な青少年として育成していくことが極めて重要であると考えております。 35 ◯教育長(福元 紘君) 学校教育におきましては、調和のとれた児童生徒の育成を目指すものであり、知育、徳育、体育は一つとして欠くことのできないもので、すべてが重要なものであると認識いたしております。  国の中央教育審議会における、新しい時代にふさわしい教育基本法等の在り方についての中間報告の中でも、「学校、家庭、地域社会の役割分担や相互連携の在り方を明確にすることが必要であり、学校の役割として、例えば知・徳・体の教育を行う場であること等を新たに規定することが適当」と述べられております。  本県におきましては、肥満傾向の児童生徒の増加や生活習慣病の危険性の高まりなどから、学校においては「食」に関する指導を健康教育の重要な柱として位置づけ、また、家庭においても保護者の食生活に関する意識を高めるなど、望ましい食習慣の育成に努めますとともに、知・徳・体の調和のとれた教育を推進しているところでございます。  学校給食は学校教育の一環でございまして、バランスのとれた栄養豊かな食事を適切な指導のもと、みんなで楽しく食べることによって、児童生徒の健康の増進、正しい食習慣や好ましい人間関係の育成、社会性の涵養などをはぐくみますとともに、給食だよりや親子給食等を通して、家庭の食生活の改善に寄与するものでございます。  本県では、公立の全小中学校において学校給食が実施され、一食当たりの保護者負担は小学校約二百円、中学校約二百三十円で、その支払いについては保護者に学校給食の意義を十分理解していただいており、適切に対応されているところでございます。  これからの変化の激しい社会において子供たちが生き抜いていくためには、みずから学びみずから考え、よりよく問題を解決する能力や、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康と体力が必要であると考えております。  このため県教委では、各学校において地域や生活に密着した鹿児島らしい体験活動を展開して、心の教育を充実させるとともに、習熟度別指導など、個に応じたきめ細かな指導を行うことにより、学力の向上が図られるよう指導しております。また、切磋琢磨しながら心身を鍛える鹿児島の気風を大切にして、たくましい体力づくり、健康づくりに努めているところであります。今後とも郷土の教育的な伝統や風土を生かした全人教育に努めてまいりたいと考えております。  食育についてでございますが、朝食の欠食、不規則な時間の食事、一人での食事や偏食など、食生活に関する課題を持つ児童生徒の増加が心配されております。  学校において、規則正しく栄養バランスのとれた望ましい食習慣を身につけさせるとともに、楽しい食事や給食活動を通して豊かな心を育成することは大変重要なことであると認識し、学校の教育活動全体を通じまして「食に関する指導」を推進しているところであり、文部科学省の月刊誌等で優良事例として紹介されるなど、全国的にも高く評価されているところでございます。  具体的には、食に関連した学習内容と給食献立を関連づけたり、体験的な学習を取り入れたり、学校栄養職員や地域の人材を授業で活用したりして食への関心を高め、食事を通じてみずからの健康管理ができるようにするとともに、食べ物やそれにかかわる人への感謝の気持ちや、思いやりの心などの育成に努めているところでございます。  また、給食だより等で家庭に情報を提供したり、給食試食会や親子料理教室、地域の人とのふれあい給食を実施するなど、家庭・地域社会と連携した取り組みも推進しているところでございます。  今後とも学校の実態や特色を生かした「食に関する指導」が積極的に展開されるよう指導してまいりたいと考えております。  乳幼児期の家庭教育についてでございますが、御指摘の番組の内容については見ていませんのでコメントはできませんが、お聞きした限りでは乳幼児期の子育てに問題があった不幸な事例ではないかと思っております。  家庭教育はすべての教育の出発点であり、人格形成の基礎を培う重要な役割を担っていると認識しております。特に、乳幼児期は子供をしっかりと抱きしめ、愛することが大切で、そのことが子供との心のきずなを生み、将来の精神的な支えの基礎をつくるものと思っております。  家庭教育は基本的な生活習慣や善悪の判断等を身につけさせたり、思いやりの心や感動する心などの豊かな人間性をはぐくんだりする上から極めて重要な役割を担っていると認識いたしております。しかしながら、近年の都市化、核家族化、少子化、親の価値観の多様化などにより、育児不安や児童虐待の増加、過保護や過干渉、無責任な放任等が社会問題化するなど、家庭の教育力の低下が見られるところであります。  家庭は本来私的な領域でありますが、現代の子育てをめぐる社会状況を踏まえますと、「子供は社会の宝」という視点を持って、教育の原点は家庭であることを、それぞれの親が自覚し、親としての責任を果たすことが基本であると考えております。  本県公立高校の十三年度における中退者数は九百六十二人で、前年度に比べて三十九人減少したものの、依然として就職などの進路変更や学校生活・学業不適応などを主な理由として多くの高校生が中退している実情がございます。  県内の中学校では生徒の進路に対する目的意識、これを培うため、家庭において親子で進路について十分に話し合うよう指導しますとともに、夏休みに宿泊や日帰りの高校体験入学に参加させるなど、進路指導の充実を図っております。  また、高校では入学後スムーズに学校生活へ適応できるよう、悩みや不安を抱える生徒が多い学校で臨床心理士等の相談員を活用するなど、高校における教育相談体制の充実に努めております。  大学等への進学に関しましては、高校生がみずからの在り方、生き方について考え、将来に対する目的意識、これをもって進路を選択するよう、県教委では各学校で社会の第一線で活躍する企業人や研究者等を招いて授業や講演等を行ったり、大学等と連携していわゆる出前授業を定期的に実施したり、さらには大学や企業等の最先端の研究施設に高校生を派遣するなどの取り組みを支援しております。  今後とも生徒みずからの進路意識を高める取り組みを一層充実させてまいりたいと考えております。  本県は全国に誇れる多彩な自然や歴史、伝統、文化に恵まれており、これらの地域の教育資源を教育活動に生かすことは大切なことでございます。  県内の各学校では、社会や道徳、総合的な学習の時間等に地域の人材等を活用して、古くから地域に伝わっている郷土の伝統的な芸能の継承や発表、伝統産業に関する体験学習、郷土の自然の調査・見学等、地域や学校の特色を生かした、地域や家庭と一体となった教育活動を行っているところでございます。  名瀬市の伊津部小学校でも、「地域丸ごと」の教育活動として、郷土に伝わる太鼓や島唄に取り組むなど、特色ある教育活動を大変熱心に展開しております。  先日、私も奄美で開催されました県PTA連合会の研究大会で「さざなみバンド」の演奏を実際に見る機会がございましたが、目を輝かせながら大勢の観客の前で堂々と「奄美の鼓動」を体全体で表現する子供たちの姿にとても感動したところでございます。  県教委では、本年度新たに「鹿児島らしい教育実践研究会」を開催し、地域の特色を生かした教育活動の実践を研究協議するとともに、県教委のホームページで「我が校の自慢・我が町の自慢」として各学校の特色ある教育活動を紹介し、県内や全国に情報を発信しているところでございます。    [尾辻 義君登壇] 36 ◯尾辻 義君 御答弁ありがとうございました。  食育、体育、徳育、知育の順番を知事と教育長はどう並べかえられますかという答弁、いただきたかったですが、またいずれかの機会にお聞きしたいと思っております。  ある日の新聞に、鹿児島市で、学校栄養職員ら約百二十人が集まり、学校給食に御飯を取り入れ日本型食生活を見直そうと米飯給食を考える研修会が開かれたと報じられていました。  米の消費拡大を図り、鹿児島の持つものを鹿児島で消費していくことと同時に、子供たちの食生活をより正しいものにしていくのがねらいだそうです。  その運動の中で、子供たちの食生活を分析したところ、食事の簡略化が進み、家庭によってもばらつきがあると指摘しています。米飯給食は郷土料理や県特産品との組み合わせがよく、栄養バランスがとりやすいと米飯給食の大切さも訴えておられます。心身の健全な発達のために食がどれほど大切かだれもがわかっているはずです。  全国に先駆けて鹿児島県ならではと言えるような食育を打ち立てていただきますよう心よりお願いを申し上げます。  拉致問題などの報道を見、聞きしておりますと、教育の大切さ、すばらしさ、そして恐ろしさを身にしみて感じます。
     鹿児島に生まれてよかった、鹿児島で教育を受けてよかったと言えるような、さすが「教育立県鹿児島」と誇れるような心のこもったすばらしい施策の誕生を心から期待し、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 37 ◯議長(溝口宏二君) 次は、永田けんたろう君に発言を許可いたします。    [永田けんたろう君登壇](拍手) 38 ◯永田けんたろう君 平成十四年第四回県議会定例会に当たり、私は、自由民主党県議団の一人として、一般質問を須賀知事並びに関係当局にさせていただきます。  なお、今までの質問等の中で一部重複する点もございますが、私なりに質問させていただきたいと思いますので、御理解いただきたいと思います。  行政改革、財政改革、金融改革、医療改革、市町村合併などなど、あらゆる分野で改革が語られたこの一年でございました。先行きが見えない中で、一進一退を繰り返しながらことしも深まっていく感がいたします。  この国は一体どこに向かおうとしているのか、そんな思いがいたすわけでございますが、しかしながら、改めて考えてみますと、まことに不思議な力を持った国でもあるとも考えるわけでございます。  日本の国土面積は三十七万八千キロ平米でございます。アメリカや中国と比べますと、大体その二十五分の一、オーストラリアに比較いたしますと二十二分の一と言われております。これを動物に例えてみますと、象と猫かあるいはウサギ、あるいはそれ以下かもしれません。しかしながら、この猫かウサギほどの国が象ほどの国に対しまして日清・日露戦争で大勝をいたした歴史がございます。  その後、第二次世界大戦では、一頭どころか数頭の象を相手にいたしまして孤軍奮闘、善戦やむなきに至らず、一敗地にまみれたわけでございます。完膚なきまでにたたかれて、息の根もとめられたと思いきや、不死鳥のようによみがえり、現在の経済復興を果たしてしまいました。  日本のGDPはアメリカの大体四十何%だそうでございますけれども、しかしながら国民一人当たりの総生産でいきますと、アメリカの一人当たりとそんなに遜色はない、約一〇%ぐらい落ちる程度かなというふうに思います。  また、中国と比較いたしますと、中国のGDPは四半期ごとの公表はいたしていないそうでございますので、正確な数字はわかりませんけれども、日本の三十分の一、そういった状況じゃないかと推測をいたします。中国は、そういった面からいきますと、日本を大人といたしますと、赤ん坊みたいなそんな経済力じゃないかというふうに思います。  日本とアメリカで世界の約四〇%強、アジアでは六〇%に至る経済力を誇っている。そんな日本が今、中国に対して戦々恐々といたしております。そして、日本が自信を失いつつあります。  これはどうしてだろうかというふうに思うわけでございます。一つには、高齢化社会、情報化社会、あるいは国際化社会の中で、我が国の体質を改革できない、そういった閉塞感があるような気がいたします。またある面におきましては、戦後の教育にも問題があったとも言われております。  私は、この戦後教育に問題があったという点につきまして、少し触れさせていただきたいと思うわけでございます。  御存じのように、戦後アメリカから輸入いたしました個人主義、民主主義は、我が国の中に隅々まで行き渡りました。このことが日本人の心を大きく変え、また向上もさせたことは事実でございますが、しかしながら、個人主義が余りにも膨張しすぎて利己主義と区別がつかないまでに膨らんでしまって、そしてそこにいわゆる社会の倫理観の欠如といったものが生まれてきているというのも事実でございます。  社会を見てみますと、学校では不登校、校内暴力、いじめ、体罰。家庭にあっては家庭崩壊。社会にあっては大企業のモラルハザード。私は、大企業のいろいろな不祥事を見ますときに、これはやっぱり子供たちのいわゆる問題ある行動と、モラルとしては倫理観の欠如といった面においてはほぼ同じ水準のものじゃないかなというふうに思います。  極論かもしれませんが、我が社さえもうかっておれば、我が社さえよければ、世間をだまし通すことができるならばそれでいいといったような、日本はどうなっても構わない。極論かもしれませんが、そういった意識でモラルハザードが起きているとは言いませんけれども、しかしながら、倫理観といった水準からいくとほとんどそういったものじゃなかったかというふうに思いまして、まことに暗たんたる気持ちにさえなります。  人はパンだけでは生きていけません。同じように、人は幾ら豊かであっても利己主義だけでは自信も誇りも生まれてこないわけでございます。私は、今の日本人が誇り、自信を失っているとするならば、この我が国の教育の問題に大きな原因もあるような気がするわけでございます。  先般、ある月刊誌にイーオングループの名誉会長であり、相談役である岡田卓也さんの対談が載っておりました。雑誌社の方で、日本の国際政治学の第一人者でありまた京都大学の教授であられる高坂先生の「文明が衰亡するとき」という有名な本を引き合いに出しまして、その中で高坂先生が、ローマ帝国やベネチアが滅びたのは、要は活力や進取の気風が失われたとき、あるいは先見性や常識が不足したとき、つまり、想像力がなくなったときが危険、そういうふうに書いておりますが、どういうふうに思われますかといったその問いに対して、岡田さんがこんなふうに答えておられます。  「現代の日本人にとって一番の問題は、倫理観の欠如ではないでしょうか。政府も、官僚も、企業でも、いろんな問題が起こって張本人たちはもちろんそうですが、その周辺の人たちも倫理観というものが全くありませんね。昔から国が滅びるのは倫理観の欠如である。企業が滅びるのも倫理観の欠如であると言われていますが、私もそう痛感します」このように書いておられます。  まさに教育は国家存亡の喫緊の課題であると言っても言い過ぎではないと思うわけでございます。このような思いを踏まえまして、まず、須賀知事に対して二点お尋ねいたしたいと思います。  第一点目でございます。十一月十四日に、教育基本法見直しについて中教審の中間報告が提出されております。その中で触れられている国家観の確立や、愛国心の涵養などについて抵抗する動きがございます。  また、宗教一般についての教育は、引き続き検討するとしてその中に盛り込まれないことになりましたが、私は大変このことが気になります。これに対する知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。  第二点でございますが、教育には、子供の教育はもちろん、家庭教育、社会教育などさまざまなものがあります。また、社会の節度ある個人主義を醸成して道徳と倫理観を確立するためには、こうした教育を教育委員会だけで背負い込むのではなく、県民全体の運動として県政全体で取り組むべき時にきているのではないか、そんな思いをいたすわけでございます。これについて、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  続きまして、教育行政について教育長にお尋ねいたします。  小・中学校の通知表が相対評価から絶対評価に変わり、二度目の長期休業を迎えようとしております。冬休みを前にして新しいスタイルの通知表が再び子供たちの手に渡っていくわけでございます。この点について以下お尋ねしたいわけでございます。  第一点、この評価方法では、受検生が希望校を選択する際に客観的な自身の学力を評価、把握することはできないわけでございます。  その結果、結局塾の評価に頼らざるを得なくなるのではないかといった危惧をいたすわけでございますが、また、受け入れる高校側にも若干の戸惑いがあるともお聞きするわけです。高校入試の考え方と対策について、どのように考えておられるのか。  また第二点といたしまして、地域間、学校間あるいは教師間で評価の基準がばらばらでは困るわけでございます。また、この評価に対する信頼も揺らぐわけでございます。この件についてどのように指導してこられたのか。  また今回の改正は、実施までの時期が短かったと思いますが、基準の作成やあるいは現場の研修は十分だったとお思いなのかどうか懸念いたします。この件についての見解。  また、第三点です。評価方法の変更が保護者に十分理解されていないとの声も耳にします。保護者への説明責任をしっかり果たす必要があると思いますが、どのように考えておられるのか。  第四点、今回の評価方法の変更について相対評価との比較を調査しその結果を分析して、今後の指導の参考にすべきと思いますが、どのような見解をお持ちか。  以上、四点について考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、市町村合併について数点お尋ねいたします。  私は、本県の市町村合併は大きく二つの要素があると思っております。  一つには、本土のケースでございます。この本土におけるケースは、皆様、当局の方々も御承知のとおりでございますが、複数ある選択肢の中からいろいろな意見が相克しあって、そしてどの選択肢を選ぶかといったことに対する戸惑いあるいは課題であろうかと思っております。  あと一つは、離島のケースでございます。私は六月議会でいわゆる「条件不利益地域」と申し上げましたけれども、海を隔てた合併、離島同士の合併、これには選択肢はないわけでございます。こことここという選択の余地はない。いわゆるイエスかノーしかないわけでございます。ここのケースを本土のケースと同一視することはできないと思うわけでございます。  ここに沖永良部・与論地域における地域の将来像等に関する研究報告書がございます。当局でおつくりになったものでございますが、こういうふうに書かれております。「本地域の合併は海を隔てた合併であることから、架橋による二島のアクセス道路の建設がなければ、地理的な一体性を留保するのは非常に困難であり、また、住民の生活圏もほぼ島単位で完結しているという特異な条件のもとでの合併です。こうした中で、行政機構を本所に集約し、支所に必要な機能を配置するという一般的な合併の考え方で本地域の合併を進めると、本所が設置される島以外では住民の利便性が低下し、島の地域活性化への取り組みが停滞することが懸念されます。このようなことから、本土での合併や一つの島内での合併と同じような考え方では合併の実現は難しいと考えられます」  こういうことを踏まえまして、まず第一点お聞きいたしたいのは、平成十七年三月までという合併特例法の期限を踏まえますと、二十二カ月という準備期間からいたしまして、本年十二月議会及び来年三月議会が法定協設置のタイムリミットであるということはこれまでの質疑でも明らかになっておりますし、また当局の考え方でもございます。  また、協議会設置の状況についても、今までの御質疑の中で理解したわけでございますが、特に私は、法定協設置がスタートでございますから、法定協設置がどうなのかということがポイントであろうと思うわけでございます。したがいまして、法定協設置見通しについての見解をお聞かせいただきたいと思います。  第二点でございます。私は六月議会以来、離島など合併条件不利益地域の合併については、国に対して特別な支援を要望していくべきであると主張してまいりました。しかしながら、その後、この件に対する国の対応がまだ見えてまいりません。  県としては、国に対して要望するとのことでございましたが、その後の県の対応状況についてお聞かせいただきたいと思います。  次に、三島・十島フェリーの問題についてお聞かせいただきたいと思います。  離島の方々の大きな悩みは、これから急速に進展する高齢化の問題でございます。したがって、医療、福祉、介護が離島の方々の、「条件不利益地域」の方々の大きな不安であり、課題であります。  この高齢化社会の中で、医療、福祉、介護を支えるのはいわゆる島民の方々の足である、交通手段であるフェリーであります。  三島・十島は、既に鹿児島市区の法定協に参加しないというふうに姿勢を打ち出しておられますけれども、よくその理由をお聞きいたしますと、フェリーに関する不安が大きいような気がいたすわけでございます。鹿児島市と合併したら、この三島・十島のフェリーが抱えている欠損、赤字を抱えることができなくなるんじゃないか。フェリーの運航回数が減ったり、あるいはもうフェリーが運行しなくなるのではといったような極端な不安をお持ちであります。  この三島・十島のフェリーは離島振興法による国と県の離島航路補助制度に約束されて、三島・十島のフェリーの運行による欠損は、国と県が補助するということになっております。このほかに甑島航路、奄美海運、上屋久町、そして三島村、十島村がその対象でございます。  ちなみに三島村のフェリーの年間総経費は大体四億円でございます。欠損は二億二千万円とお聞きいたしております。十島村のフェリーの総経費は五億六千万円、欠損は二億四千万円とお聞きいたしております。年度によって違いましょうから、この差異はございましょうが、大体これが基準じゃなかろうかと思っております。  この欠損金である二億二千万円と二億四千万円が一体どうなるのかというのが三島・十島の方々の不安であり、また疑問であるわけでございます。  このことを踏まえまして質問したいことの第一点は、合併によってフェリー運行の回数や補助について影響が生じるのかどうか。  第二点は、仮に、もう既に鹿児島市区とは合併しないとおっしゃっておられるわけですが、仮に鹿児島市と合併したときも、鹿児島市の財政事情に関係なく、国・県の補助は変化ないと考えてよいのかどうか。  第三点は、フェリー以外にも離島振興法が適用される離島におきましては、道路・港湾・漁港・廃棄物処理施設の整備に要する経費など、さまざまな面について離島の特殊事情にかんがみ、国の補助率を一般の補助率よりもかさ上げして、重点的かつ効率的な事業執行が行われております。  離島市町村が本土地域の市町村と合併した場合、この補助率のかさ上げ措置について変化が生じることがあるのかないのか、これも島民の方々の不安でございますので、お聞かせ願いたいと思います。そうでないのであればそうでないということを明快にお答えいただきたいのであります。  これで、第一回目の質問といたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 39 ◯知事(須賀龍郎君) 教育基本法の見直しを提案いたしました教育改革国民会議の報告では、「日本の教育は、戦後五十年以上にわたって教育基本法のもとで進められてきた。この間、教育は著しく普及し、教育水準は向上し、我が国の社会・経済の発展に貢献してきた。しかしながら、教育基本法制定時と社会状況は大きく変化し、教育の在り方そのものが問われている」とされております。  教育はどうあるべきかという問題は、これは国民一人一人の生き方や幸せに直結する大変重要な問題でありまして、特にその根幹をなしております教育基本法のあり方につきましては、国民的な論議が必要であると考えております。  そういった意味におきまして、中央教育審議会の中間報告で述べられております社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、郷土や国を愛する心、宗教に関する教育などにつきましては、さまざまな立場からいろいろな御意見もあると思いますが、十分この問題等につきまして論議されますことは、大変結構なことであると考えております。  今後とも中央教育審議会並びに国におきまして、「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」につきまして十分論議され、適切な対応がなされることを期待しているところでございます。  次は、「二十一世紀新かごしま総合計画」におきまして、学校教育の充実だけではなくて、青少年の育成、生涯学習の推進など、子供から大人までの人材育成にかかわる施策を、「新たな時代を担う多彩な人材の育成」として県政の展開方策に位置づけをしているところであります。  今日のさまざまな教育課題に対しましては、広く県民の方々の御参加もいただき、これまでも生涯学習や青少年の健全育成、あるいは環境教育・食農教育の推進等に努めているところでございます。また、庁内におきましても、庁議や関係部局によります企画懇談会などを開催いたしまして、全庁的な取り組みの中で、一体となって取り組みを行ってきているところであります。  今後ともこのような緊密な協力・連携のもとに、さまざまな教育課題には取り組んでいきたいと考えております。 40 ◯教育長(福元 紘君) 絶対評価のもとでの高校入試対策についてでございますが、県内の中学校では、高校入試を直前にした中学校三年生やその保護者に対し、これまでと同様に、個人の「学習の記録」を作成して、定期テストや実力テスト等の結果を学年ごと、クラスごとの順位などで示し、校内での相対的な位置づけがわかるようにしております。  生徒や保護者が進路を決定する際には、絶対評価による評定とこれらの資料を合わせて活用しながら、総合的に判断しているところでございます。  今後とも、生徒の学力の的確な把握に努めながら、適切な進路指導や進路情報の提供を行うなど、生徒の希望や適正を生かした進路指導に努めてまいりたいと考えております。  絶対評価は、一人一人の児童生徒が学習すべき内容をどの程度身につけているかということを評価するものであり、その客観性を高めるためには、各学校のすべての教科で適切な評価基準を作成する必要があります。  県教委としましては、昨年度各学校で客観的な評価が行われるよう、全教職員へ評価基準に関する資料を配付し、教員研修の充実を図りますとともに、本年度は各教科ごとに行う実践研究会の中で、各学校での評価の取り組みについて具体的な研究を行ってきたところでございます。  さらに、県総合教育センターにおきましても、各教科ごとの評価に関する実践的な指導資料、これを各学校に配付し、校内研修等での活用を促しているところでございます。今後とも各地域や学校間等で評価のばらつきが生じないよう指導してまいりたいと考えております。  本年七月に初めて絶対評価による通知表が子供たちの手に渡されました。各学校では、それまでに絶対評価の意味や通知表の見方等について学校で作成した資料を配布したり、PTAの会合等で説明したりして保護者への理解を求めており、保護者からは、今回の絶対評価による通知表について、「具体的な学習内容が明確になってわかりやすい」、「先生が一人一人の子供に目を向け指導している様子がよく見える」など、好意的な声が多かったと聞いております。  なお、通知表については、例えば中学校二年生の社会科を例にとりますと、従来、「社会的事象に関心を持ち、よりよい社会を築いていこうとする」となっていた評価の観点を、「鹿児島県の地域的特色や開国から明治維新までの歴史について関心を持ち、意欲的に学習に取り組もうとする」とするなど、子供たちの学習内容や評価が保護者にわかりやすくなるよう工夫しているところでございます。  県教委では、今年度絶対評価が導入されたことを踏まえまして、幾つかの学校におきまして、昨年度までの相対評価による通知表と本年七月の絶対評価による通知表の評定を比較したところでございます。この結果を見ますと、評定が五や四に偏るなどの大きな違いが見られず、適切な評価がなされたと考えております。  今後とも必要に応じて調査を実施するなど、各学校における絶対評価の客観性・信頼性が高められるよう指導してまいりたいと考えております。 41 ◯総務部長(佐々木敦朗君) 市町村合併の推進については、県内の各地域において現在二十の協議会や研究会等が設置され、県内市町村の九三%に当たる八九市町村が参加をしております。  このうち鹿児島、日置などの五地区においては、法定合併協議会の設置に向けた手続を進めることとされているほか、法定合併協議会の設置に向けた住民発議の手続が進められている地域もあるなど、県下各地域において合併実現に向けた具体的な取り組みが一層進展してきており、今後、法定合併協議会を設置する地域は増加をしていくものと考えております。  合併特例法の期限が平成十七年三月までとなっておりますので、今年度は極めて重要な年であると考えており、県としては各地域においてできるだけ早い時期に法定合併協議会が設置されていくことを強く期待しており、今後とも合併実現までの各段階に応じた支援を積極的に行ってまいりたいと存じます。  離島地域などの市町村合併については、その地理的条件や交通アクセスの条件などから難しい要素もございますが、一方でこのような市町村は人口の減少や高齢化の進行、脆弱な財政基盤など、将来にわたって良質な行政サービスを安定的に供給し続けるために解決すべき課題を抱えておりまして、これらの地域におきましても合併に向けた真剣な議論・検討がなされております。  県としては、海を隔てた離島間の合併などにおいては解決すべき課題を抱えておりますことから、これまでの九州地方知事会等を通じた要望活動に加えまして、県開発促進協議会においても、「合併後に新たに生ずる交通対策や住民サービスの確保のための特別な財政措置を講ずること」を新規要望事項として位置づけ、去る十一月、国に対し要望をしたところでございます。  今後とも離島地域の市町村合併の抱える課題が解決できますよう、必要な施策について国に対して要望してまいりたいと存じます。 42 ◯企画部長(迫田 昌君) 三島・十島航路は、本土と各島を結ぶ唯一の交通機関といたしまして、また、島民の方々の日常生活や産業活動にとって極めて重要でありますことから、航路の安定的な確保を図るため、これまでも国と県が協調して欠損費補助などを行ってきております。  市町村が合併した場合につきましては、国にも確認をいたしましたところ、両航路への補助制度は、継続して適用されるとのことでございます。  なお、運行回数などの運行計画については、両航路は国庫補助航路でありますことから、これまで同様、国において利用実態を見ながら認可されることになっております。  県といたしましては、今後とも両航路を含め、県内の離島航路の維持・確保に努めてまいりたいと考えております。  離島振興法におきましては、離島の特殊事情を勘案し、島ごとに地域の指定がなされ、これらの指定地域においては道路・港湾・漁港等の整備について補助率のかさ上げ措置が講じられております。  このように、地域の指定は島ごとになされるものでありますことから、離島市町村が本土の市町村と合併をいたしましても、補助率のかさ上げ措置に変更はないところでございます。    [永田けんたろう君登壇] 43 ◯永田けんたろう君 それぞれ御答弁いただきました。  知事におかれましては、いわゆる教育に関する問題につきましては、全庁的な取り組みをしていく、そういったような形を今後ともやっていきたいということでございました。ぜひお願い申し上げたいと思います。  ここで、私は一つ皆さま方に御紹介申し上げたい本がございます。いわゆる戦後日本の良識と言われた山本七平さんが、一九八〇年の七月六日から一九八一年の六月二十一日まで約一年間、今から二十年前でございますが、「週間讀賣」に毎週掲載した時評がございます。タイトルは「日本人」。  その中で一九八〇年八月二十一日号に掲載されている文章を御紹介したいと思います。題目は「ジミーとビリーは教会が違う」となっております。そして副題として「ジョージア州ブレンズを訪ねて」となっております。  御存じ、元アメリカ大統領カーター邸のある町でございます。ちょうどカーターさんが民主党の大統領候補として、再選候補として指名当選したときのちょうどそのときにあたったときの文章であるみたいでございます。  このように書かれております。「アメリカ人は、その成人人口の少ないときは四八%、多いときは五八%が毎週必ず教会に行くという、日本では少々考えにくい国民です。しかし、この面は日本に紹介されておらず『アメリカのすべて』などという雑誌のグラビアなどを眺めてみても、そのほとんどがニューヨークの下町などを紹介したのが多いわけで、極めて保守的な南部の町や村のこのような実情は、案外紹介されていないように思われます。そして、その教会ですが、この小さなブレンズ村の中央に実に堂々たる大教会が四つもあります。そしてそのすべてがどの建物よりも立派で大きく美しいのには少々驚きました。わざと少しおくれてカーターの教会の礼拝に列席しました。というのは、こういう古い教会ではあのあたりはだれだれ家の席、このあたりはどこどこの一族の席と、何となくひいじいさんのころから席が決まっていることが多く、そこで早々に来て適当な空席によそ者が腰をおろすわけにはいかないからです。教会はほぼ満席、男女ともどもまことに礼儀正しい古典的な服装をして、神妙に牧師の熱弁に耳を傾けていました」とこんなふうに書かれております。  私はこの文章を見まして、なるほどアメリカと日本の個人主義はその土壌が違うのだというふうに感じたことを思い出します。単純にアメリカをまねするだけではこれは大変だと思い立ったことを思い出します。目からうろこが落ちたような気持ちになったことを思い出します。  個人主義が利己主義と区別できないまでに膨張し続けることを防ぐには、社会が一定の倫理観を共有しあう必要があると思います。アメリカの個人主義を支えているのは、山本七平さんの目に映った一般大衆のこのような宗教生活ではないのかなというふうに思ったわけであります。そして日本の個人主義、民主主義に欠けているのはこの部分ではないんだろうかというふうに思うわけでございます。  宗教教育によらずとも、広範に一定の倫理観を共有しあう生活があれば、無秩序な利己主義の膨張を防ぐ力になると思います。そしてかつて我が国にはそれがあったような気がするわけです。物質文明を求めるその過程において、私たちはそれを次々にそぎとってきたような気がしてなりません。  武術を武道、花を華道、お茶を茶道と称して、鍛錬を通して、単なる術を精神の高い位置にまで高めていこうとする文化、恥を知る心、わびとさびに象徴される美の世界、これら日本的な文化がいかに日本人の倫理観というものを規範として形成していったかということに思いをいたすわけでございます。決して宗教にはよらなくともこのような文化がかつて日本社会で共有していた倫理観の源泉の一つではなかったかと思うわけでございます。  人はパンだけでは生きていけません。同じように、利己主義だけでは自信も誇りも生まれてきません。この倫理観を取り戻すことによって、日本人は再び自信と誇りを取り戻すことができるのではないだろうかと思います。  我が県が全国に先駆けて倫理観の確立という明確な目標を立てて、この教育運動を県民全体のものとして展開していくような、そのような御努力をぜひお願い申し上げたいと念ずるものでございます。  市町村合併について御答弁いただきました。  離島など「条件不利益地域」の件でございます。鹿児島県は、離島を抱える特異な地理的条件にあります。特異な地理的条件にありますから、全国的な話題にはなりません。しかしながら、だからこそこれは鹿児島県が言い続けていかなければいけない問題じゃないかというふうに思います。
     また、三島・十島のフェリー問題については、これは当然のことでございます。離島振興法に約束されているこの補助が市町村合併によって廃止になるということはあり得ないことでございます。  わかって質問したというわけではございません。一般島民、一般村民はそこがわからないわけでございます。私どもには当然なことでも、やはり県民の皆様方には当然のことではないわけでございますので、ここのところはどうかきめ細かな情報開示と情報提供、そして説明責任を果たしていっていただくようにお願い申し上げたいと思います。  特に、迫田部長さん、第三セクターの問題あるいは山川・根占航路等の問題、大変お忙しい身でございます。しかしながら、部長さんは奄美出身でいらっしゃいます。奄美の方々、あるいは離島の方々の物の考え方に対しましては、殊さらに特別なお気持ちもあられるのではないかと思いますが、どうかお忙しい中、この離島、そして海を隔てた合併につきましても、お力添えをお願い申し上げておきたいと思います。  それでは最後に、財政問題について質問を続けさせていただきたいと思います。  国において地方交付税の見直しが検討されていることは特に御存じのとおりでございます。  総務省と財務省でいろんな見解の根本的な違いはございますが、どちらも地方交付税をこのままにしておいていいといったような議論ではなさそうでございます。また総務省は、先般、二〇〇三年度から地方交付税における留保財源率を五%引き上げるという方針を固めたとお聞きいたします。  いわゆるこの留保財源率が引き上げになりますと、交付税総額が変わるということではなさそうでございますけれども、しかしながら、税収減の影響を受けやすくなりまして、税収の伸びているところは自由裁量の税源がふえるわけでございますが、税収の少ない、いわゆる自主財源の少ない我が鹿児島県などは、大変窮屈な財政運営をしていかなければならないことになります。  そういった状況の中で、全国的に都道府県の税収が落ち込んでいるということでございますし、また、本県も法人二税の税収の落ち込みが予想されるということで、県税税収の減額補正を組まれたところでございます。  この件につきまして、質問させていただきたいと思いますが、第一点でございます。十二月補正で法人二税、いわゆる法人県民税と法人事業税にかかわる県税の減額補正を行うわけでございますが、今までも代表質問、一般質問で質問がなされたわけでございますけれども、今までの質疑の中で、法人二税以外の税目についても極めて厳しいという午前中の知事の御答弁もございました。今後、三月補正に向かって、そういった状況を踏まえて、県税全体の見通しをどのようにとらえておられるのかお聞かせ願いたいと思います。  第二点、十二月補正で県税の減額を行うと同時に、県債を発行することとしています。県債は十二月補正後では千六百八十九億円となり、当初予算の千四百八十三億円と比較いたしますと、当初に比較して二百六億円増加することになります。  また先般、当局が作成されました財政収支見通し、今年度の財政収支見通しの千五百四十億円よりも既に増加いたしております。  本年五月に示された収支見通しにおいては、平成十四年度は二百六十五億円の要調整額が生ずることになる、いわゆる収支不足額が見込まれている。しかしながら、財政改革プログラムに掲げる収支改善を図ることによって、要調整額を二百二億円に圧縮するとなっております。  県税収入が減少し、県債発行が増加する中で、今後厳しい財政運営が予想されますが、平成十四年度における要調整額は、何としてもこの二百二億円にとどめていただきたいと思うわけでございます。しかしながら、今の状況では要調整額がこの金額を拡大するのではないかとも懸念いたします。御見解をお聞かせください。  第三点、国においては現在、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方について、いわゆる三位一体改革に向けた検討が進められております。このうち地方交付税制度の見直しについて、先般財政制度等審議会から地方交付税の財源保障機能を廃止する意見が出されました。いわゆる財務省からの意見でございます。  財源保障機能は、地方公共団体が一定の行政水準の確保を図る上で重要な役割を担っていると考えるわけですが、県の御見解をお聞かせいただきたいと思います。  第四点、平成十三年度末の県税滞納額は約四十五億円となっており、前年度末に比べ約三億七千万円増加いたしております。  このような県税滞納額の増加傾向は極めて憂慮すべき問題であり、一刻も早くその増加傾向に歯どめをかけなければならないと考えます。つきましては、県税滞納額の縮減に向けた取り組み、特に自動車税における対策についてお伺いいたしたいのであります。  第五点、未利用地の売却については、財政改革プログラムの中でも内部努力による収入確保策の一つとして掲げられてあります。  先般、一般競争入札により売却を行ったとのことでありますが、今年度の未利用地売却への取り組みの状況について、お伺いいたしたいと思います。  第六点は、今年度の人事院勧告においては厳しい経済・雇用情勢もあり、民間企業の給与と県職員の給与との比較の結果、給料の引き下げ、ボーナスの四年連続の引き下げなどを行う必要があるとした勧告がなされたと聞いております。この人事院勧告についてどのように対応していかれるのか考え方をお聞かせください。  これで二回目の質問といたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 44 ◯知事(須賀龍郎君) 今年度の国の人事院勧告は、民間の一段と厳しい給与実態を反映しまして、勧告制度創設以来初めて給料を引き下げますとともに、期末手当の支給月数も引き下げる内容となっております。  本県の人事委員会勧告におきましても、人事院勧告の内容に準じて改定する必要がある旨の勧告がなされているところであります。  県職員の給与につきましては、これまでも地方公務員法等に基づき、県人事委員会の勧告を受けて、国に準じることを基本として取り扱ってきたところでありまして、県としては職員の給与改定につきましては、関係条例案を近く追加提案させていただきたいと考えております。 45 ◯総務部長(佐々木敦朗君) 平成十四年度の県税収入については、前年度当初予算対比九五・六%の一千三百七十五億一万五千万円を予算計上しておりましたが、法人二税について、製造業において情報通信機器関連企業等を中心に業績が悪化をしていること、金融業において収益が減少していることなどから、現時点で大幅な税収減が見込まれますため、今回七十八億七千九百万円の減額補正をお願いをしているところでございます。  一方で、収支見通しにおきます平成十四年度の収支改善後の要調整額の二百二億円は、幾つかの前提条件のもとに試算を行った上で、財政改革による収支改善効果を加味した歳入と歳出の乖離額でございます。  今回お願いをしております法人二税の減額分については、後年度交付税措置のある減収補てん債を同時に予算計上しておりまして、今年度の要調整額に影響を及ぼすものではないと考えております。  しかしながら、法人二税以外の税目についても、税収見通しは極めて厳しい状況にありますなど、本県を取り巻く財政環境は厳しいものがあり、引き続き年度末に向けて税収の確保を含め、所要の財源確保に最大限の努力を傾注してまいりたいと存じます。  地方交付税は、国が定めた施策を地方が実施することに対する財源保障や、全国的な税源の偏在・不均衡を是正する財政調整を行う上で極めて重要な役割を果たしておりますが、この財源保障機能は国が地方公共団体に一定の行政水準の確保を求めている仕組みと不可分の関係にありまして、財政調整機能と一体としてその機能を果たしております。  国庫補助負担金地方交付税及び税源移譲を含む税源配分のあり方の検討に当たりましては、まず国から地方への税財源の移譲が行われることが必要不可欠でありますとともに、地方歳出に関する国の施策の見直し抜きに地方交付税の削減だけが行われるべきではなく、引き続き地方交付税による財源保障機能及び財政調整機能を確保する必要があると考えております。  県税の滞納縮減については、「県税滞納縮減特別対策本部」を設置し、これまでも各種の広報媒体を通じた納税意識の高揚に努めるほか、市町村と共同で文書催告や滞納整理等を実施するとともに、ことし八月に新たに策定した「県税未収債権管理マニュアル」に基づき、滞納者に対する督促や催告の早期実施、給与の差し押さえ等の厳正な徴収対策に努めるなど、全庁的な取り組みを行っているところでございます。  特に、自動車税については、納期内納付促進の広報活動や、口座振替制度への加入促進に努めておりますほか、本年四月には自動車税管理事務所の徴収部門を鹿児島総務事務所へ移管し、徴収体制の統合・強化を図ったところでございます。  また、先月二十五日からは、自動車税を中心とした集中的な滞納整理を行うため、県下一斉に休日徴収作戦及び夜間電話作戦を実施しているところでございます。  今後とも県税の滞納縮減に向けて最大限の努力を続けてまいりたいと存じます。 46 ◯出納長(和田正道君) 未利用地の売却につきましては、先般十件の土地につきまして一般競争入札を実施しました。このうち四件が約八千二百万円で落札されたところであります。  また現在、国分警察署跡地約四千三百平方メートルを九州郵政局に郵便局用地として、年内に売却する方向で必要な手続を進めているところでありまして、これを含めますと、今年度見込んでおりました売却額六億円の確保はできるものと考えております。    [永田けんたろう君登壇] 47 ◯永田けんたろう君 ありがとうございました。  それぞれ御答弁いただきました。  財政問題につきましては、やはり財政改革プログラムで予定いたしておりました要調整額を堅持するということが今後の大きな財政運営のポイントであろうというふうに思います。  ただいまの総務部長の御答弁をお聞きする中で、そのことについての心配はないといったようなことでございました。ひとまず安心いたしたいと思います。  しかしながら、三月に向けまして他の税目についてのいわゆる減収ということも予想されるわけでございますので、万全の体制で、よもや要調整額の変更ということがないようにお願い申し上げておきたいと思います。  また、自動車税の完納につきましては、我が会派の代表質問でも触れておりまして、完納システムの開発について要望があったと記憶いたしております。  実は私は、この自動車税の完納問題につきまして、当局と協議する中で、自動車税を払った車には完納済み票というステッカーを貼付したらどうですかというふうに申し上げたわけでございます。  私としてはすばらしいアイデアだったと自分で思っているわけでございますが、当局にお聞きいたしますと、そういうことをすると完納した人としない人を一般大衆、一般社会の中で区別することになって、いわゆる守秘義務に違反する部分が出てくるということでございまして、なるほどそういった問題もあるのかと改めて認識もしたわけでございますが、私のすばらしいアイデアはまないたの上にのって包丁が入るまでもなく消えてしまったわけでございます。  しかしながら、いろいろな御努力をしておられますことは御理解いたしますとともに、ぜひこの完納システムについても全国のどこかで何かそういったことをしているところはないのか、あるいはまた職員の方々からいろんなアイデアを募集するなどしてぜひ考えていただけたらというふうに思います。  以上、教育問題、市町村合併について、財政問題について御質問させていただきました。  これで私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)       ─────────────    △ 請願・陳情の委員会付託 48 ◯議長(溝口宏二君) 次に、受理いたしました請願・陳情は、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり所管の常任委員会に付託いたします。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 49 ◯議長(溝口宏二君) 十二月九日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ─────────────    △ 散  会 50 ◯議長(溝口宏二君) 本日は、これで散会いたします。         午後三時十三分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...